蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

№463 背を押されて

なんというドラマチックな夜だろう たった一つのことだけがある 辻井竜一 一昨日に東京入りし、肉体は骨になってしまったものの、たぶんそこここにいて私たちの話を聞いているであろうお兄ちゃんの写真に手を合わせた。奥様の悲哀は語り尽くせないだろうが、…

№462 ことばをつかって

わがこころ環(たまき)の如くめぐりては 君をおもひし初めに帰る 川田順 本日再度上京して、奥さまにお会いする。ちょうど1週間前に「また必ず」と言って別れたのが嘘のようだ。旅の準備のなかに、常には持ち歩かないものを忍ばせなくてはならないことが、…

№461 哀しみのレベル

" data-en-clipboard="true">本当の愛は、痛む。本当の愛は、あなたを自分を超えたところへと連れていく。したがって本当の愛は、あなたを打ち砕く。もし愛によって打ち砕かれなかったら、本当の愛を知らないのだ。 K・ウィルバー 「グレース&グリット」 " …

№460 驚きをもって

死の側から照明(てら)せばことにかがやきてひたくれなゐの生ならずやも 斎藤史 恩返しというものが可能ならいつか必ずと思ってきたが、それを直接させぬ間に颯爽と次の世へいってしまったひとに、どんな形でなにをお返ししたものかと考えている。 いま、私…

№459 充分だよ

立てるかい 君が背負っているものを 君ごと背負うこともできるよ 木下龍也 今は落ち着いた心持ちでいることができる。 ヨーガを通じインド哲学に触れてきて、この世にあると見えるものの移ろいやすさや儚さを私という存在の中に叩き込まれた。これは言葉によ…

№458 泣いていいよ、と

体などくれてやるから君の持つ愛という名の付く全てをよこせ 岡崎裕美子 前職のせいなのか生まれつきなのか、声が大きい。 次女にはいつも叱られている。内緒話はできないね、ママは絶対に浮気はできんなと言われる。声が大きいからバレるそうだ。なるほど、…

№457 能動的に

11日間の不在。ウクライナに行っていた時よりも長いのではないか。ようやく帰宅した。子供たちも「さすがに寂しい」と言い、私も夢中だったとはいえ久々に娘たちの顔を見るとたまらなく嬉しく、ずいぶん成長したように感じた。長女がわたしの顔を見ながら「…

№456 思考停止でなく

刻々にくり返す波として私は生きている 明日を知らないこのからだも 今日ならたしかに知っているのだ 「陽炎」 自選 谷川俊太郎詩集 何かの決まりに従おうとするとき、いつかどこかで、なにかのために、誰かが仮に決めたものが定着し、それを変えたり工夫し…

№455 愛すること

人間のいのちのちからに圧倒されつつ、数日間を寄り添わせてもらった。来週また必ず会えると信じ、それを確信しうる現象に触れ、いったん辞去して今は神戸に来ている。 コロナ関連の助成金を使って作られたという、ビルの屋上のオープンスペースでレッスンを…

№454 家族の難しさ

ここにきて4日目になった。初めは悲観的だったので、これはとても嬉しいこと。 奥さんには我儘を言うが、妹には素直なので言いなりになっている。 「手を握っていい?」と訊ねると、にっこりして「うんうん」と頷いている。内心はどうなのかわからないが、普…

№453 奇跡があるなら

一昨日から、友人の枕頭に付き添わせてもらっている。 私は実のところ赤の他人なので、このコロナ禍のなかでそもそも面会は叶わないはずなのだが、常々わたしのことを実のきょうだいのようだと公言してはばからなかった友人の意を受けて、ご家族も実の妹だか…

№452 ずっと、ここに

今、とても哀しい経験をしている。 事情があってここに詳細を書くことができない。 これまで学んできたことをすべてつかっても、この経験に立ち向かうことができない。 物陰に隠れて涙を流すことしかできない。 同時に、書籍やきれいな研究会では絶対に学ぶ…

№451 一緒にいて

「どうしても君に会いたい昼下がり しゃがんでわれの影ぶっ叩く」 花山周子 2011年にウクライナに行った。チェルノブイリ原発事故の被ばく者の方に対するヨーガ療法指導及び研究のため。 その時、通訳と滞在中のアテンドをしてくれたのが五代裕己さんだった…

№450 いきることは波のよう

ヨーガ・スートラという本がある。 ヨーガの先生でこれを知らない人はモグリである。 あなたもご自分のヨーガの先生に「ヨーガ・スートラでは、ヨーガの目的はなんだと言ってましたっけ?」と聞いてみよう。 「お、いい質問だね! “yogaḥ citta vṛtti nirodh…

№449 だれかのために叫ぶ

もう何年も前のことになるが、インテグラル理論の師匠・規夫先生に、大崎のスターバックスで頂いた言葉が私の臓腑に突き刺さり、ずっとその言葉を大事にしている。 「自分がこの世に生を受けて得られた知識や経験を、誰かに向かって伝えねばならない。」そう…

№448 すてきなゆめ

出張3日目。不在宅では、長女がオンライン授業の合間に家のことをやってくれている様子が伝わってくる。 この月末に二十歳の誕生日を迎えるこの子は、大学に行きたいという思いを通じてこの2年で大いに成長した。生徒会長まで務めたような子なので、ぼんやり…

№447 身をゆだねてみる

上京中である。 昨日寝坊して、朝食代わりのMCTオイル入りコーヒーも飲まずに出発。 山陰から山陽へ向かう特急やくもと新幹線を乗り継いで、約6時間の道中だった。東京って遠いな。 昨日は非常にタイトなスケジュールだったので、前日の20時以降水とお茶しか…

№446 新しいからだをつくる

「目がないから、私は見ない。同様に、耳のない私が、どのように聞くことがあろうか。言語器官をもたないから、私は語らない。意(思考器官)をもたないから、どうして思考することがあろうか。」 ウパデーシャ・サーハスリーⅠ13-1 ここひと月ほど身体の調子…

№445 それきくのやめて

前職のことを知った人に、ほぼ必ずされる質問ベスト3がある。 1.飛行機乗ってたの?2.実弾撃ったことある?3.女性だから事務仕事だけだよね? この質問を私にしようと思っていた方、もうやめて下さいね。ここで説明しますから。 まず1番。 航空自衛隊…

№444 食べないで寝るクスリ

今日は養生の一日である。 人間楽しいことや嬉しいことでも、心身に疲労が蓄積する。 気持ちが高揚するような行事のあと、なんだか気が抜けたようになって疲れを感じることは経験したことがあるだろう。 今週は私もそんな高揚と共にあったので、少しバランス…

№443 出会いに揺さぶられる

「『私はブラフマンを知っている』という誤った観念を捨てて、アートマンの見は不断であり、行為主体とはならない、と知っているもの、その人だけが真実にアートマンを知っており、他のものはそうではない。」 ウパデーシャ・サーハスリーⅠ 12-13 人は別れ、…

№442 とことん遊ぼう

「粗大な身体と微細な身体と同一視され、潜在印象の形をもったアートマンによって、行為がなされる。私の本性は、『そうではない、そうではない』(ブリハッド・アーラニヤカ・ウパニシャッド2・3・6)のであるから、わたしによってなされるべき行為は何処にも存在しない。」 …

№441 泣くことしかできなくても

ホロコースト関連の書籍で、気になるものは手に取るようにしている。 ここ数年読んだもので特に印象に残っているものを新しい順に挙げると、 「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」「ニュルンベルク合流」、 そしてようやく映画化された「HHhH」だろうか。 そして今…

№440 先生としての原点

「もしその混迷に陥っている観念やそのほかの観念は見には属さない、と知れば、その人こそ疑いなく、ヨーガ行者の中の最も優れたものであり、他のものはそうではない。」 ウパデーシャ・サーハスリーⅠ 12-7 ふとしたきっかけで、昔のことを思い出した。 22歳…

№439 すでに選んでる

「ブラフマー神をはじめとして植物にいたる一切の生物は、私の身体である、ということが言われている。この身体以外の何ものから、欲望・怒りなどの諸欠点が私に生ずるのであろうか。」 ウパデーシャ・サーハスリーⅠ9-4 先日は中秋の名月だったとのこと。 そ…

№438 ちいさなことから

「鏡の中にある顔の映像のように、見(=アートマン)の映像を宿している統覚機能の観念を見て、ヨーガ行者は『アートマンを見た』と考える。」 ウパデーシャ・サーハスリーⅠ 12-6 誰かが私をしあわせにしてくれたり、どこぞのお医者さんが奇跡的ななにかを施…

№437 そこに氣があるから

「『君は行為せよ』『君はまさにそれ(=ブラフマン)である』という二つの相矛盾する観念が、同時に、同一の拠り所を持つことが出来るのか、合理的に説明せよ。」 ウパデーシャ・サーハスリーⅠ 12-4 突然、長女が「母さんが言ってる、気ってなに?」と訊ねて…