蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№458 泣いていいよ、と

体などくれてやるから君の持つ愛という名の付く全てをよこせ   岡崎裕美子


前職のせいなのか生まれつきなのか、声が大きい。
次女にはいつも叱られている。内緒話はできないね、ママは絶対に浮気はできんなと言われる。声が大きいからバレるそうだ。なるほど、そうか、浮気は無理か。肝に銘じておこう。

自分としては、ヨーガ実践やアーユルヴェーダの養生法の故に小さな心身の変動が敏感に感じ取れるため、いつも何かしら気になりながら生きている。食も相当節制している。
繊細なつもりで生きているのだがそれはどうやら本人の錯覚に過ぎないようで、やたら元気な人だと思われているようである。

ヨーガの先生になる前からなので、これは性質らしい。もしくは好意的に考えると、与えられた才能なのかもしれない。

自衛隊を辞した後、自分に対する不足感がいっぱいで、いま思い返すと「ばかじゃないの…」と思うセミナーや勉強会にたくさん出た。素晴らしい出会いを得られたものもあるし、素晴らしい教えに出会ったことももちろんある。

そういったところのワーク等で人と接し、その場の高揚感かはたまた変性意識状態にあったものか、何度かプロポーズをされた(*その頃にはもう結婚してましたよ)。

曰く、「あなたみたいな元気な人がそばにいてくれたら…」。
僕が幸せになれたり、仕事が上手くいきそうな気がするのであろうか。
それは大変な誉め言葉であることは認める。現在セラピストとして活動をしているわけだが、「なんかしらんけど先生のそばにおると元気出るわ」と思ってもらえなかったらマズイではないか。そう感じてもらえない有資格者は現実にはいて、だからこそヨーガ教師はこれだけの高確率で淘汰され消えていく。

ひとの心臓からは1.5mくらい先までなにかが出ていると言う。ここで専門的な話はやめておくが、これはスピ系の話ではなくエネルギーの話だ。
先生という呼称で呼ばれることのある者は、この自分の胸などから知らぬうちに発せられている何かに責任を持っていなければならない。

昨日イライラしたり、もしかして毎日夫に消耗させられていたりしたら、この発せられている「何か」の質や力は劣化するだろう。そのとききっと、私が思うに、先生が目の前の生徒から何かを吸い取ることになる。

でもこれもかなり複雑な話で、嫌な目に遭ったから即エネルギーが劣化するなどということではなく、大きな、生きる上でのダイナミクスの中で二極のエネルギーの波の中を鮮やかに泳ぎ切っていることが大事なのだと思う。上がったり下がったりでいいのだ。

ここでなんども書いているが、現在の家族を取り巻く制度やそれが孕む問題は実に根深いものがあって、その過酷な環境の中で逞しく生きていくためには、通り一遍の教科書的な対応では乗り切れない。特に女性は難しい。
社会で活躍し、自らもしあわせでいるために、女性は何かを超越した心を持っておく必要があると思う。

私の周囲にいる素敵な女性たちは、みなさんその超越した心を持っておられるように感じる。生きにくい世界の中でも、自由な心持でいることはできる。それは自分ひとりの在り様でそうすることができる。
誰かにしあわせにしてもらう必要もないし、誰か元気な人をそばに置いていく必要もない。

そのような魅力的な女性のひとりが今日、私を深く癒してくれた。
私がいつも元気そうで(声も大きくて、酒もたくさん飲んで)弱ることなどないように見えたとしても、生きていればいろんなことが起こる。

なにごとかがあったとき、いったい私はどこで泣けばいいのか。

哀しいことがあったとき、とにかく十分に哀しめ、泣け!、と私はアドバイスする。
さんざん泣いたら、人は顔をくしゃくしゃにしながら「えへ」と笑える。それは生そのものが人に与えてくれている力だ。

だから私を身近に感じて下さっている方々にお願いしたい。
「なにかあったらこの胸で思う存分泣け」と言ってくれ、と(男女問わず)。

それであなたの素敵な上着が私の涙や鼻水でぐちゃぐちゃになって、私の顔がとんでもなく醜くなってしまった頃合いで、「美味しいものを食べに行こうか」と言って欲しい。
その後も、涙を流しながら物を食べることと、「おいしい!」と照れ笑いをすることを交互に繰り返しながら私は間違いなく浮上していく。
その経験がものすごく哀しいことであったとしても、ほんの少しの哀しみであったとしても、その哀しみそのものと、あなたがこんなときにもそばにいてくれたことを滋養として、またこれから人に向き合って自分の持てるものすべてをさらけ出して生きていくことができるだろう。

なんてへんてこりんな顔だろう、と思いながら、優しく微笑んでそばにいて欲しい。
そしていつか私も、同じことを人にしてあげる。その覚悟はもう決まっている。
なにかあれば声をかけて。私にハグされながら泣いたらいい。

けっこう体格いいし体幹もしっかりしてるので、安定感あると思うよ。