蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№102 大きい入り口は分かりやすい

学会で、久我谷先生の講演を伺った直後に注文した本を読了した。
著者のブルワー氏は、ご自身も瞑想を行じる方で、この本には元祖マインドフルネスのJ・カバットジン氏も寄稿している。

瞑想で「楽になる」体験をなさったブルワー氏は、ご自身の専門の中で瞑想の効果を検証していく。
今はこの知見が一般にも活用できるようになっていて、禁煙を始めとする依存症の治療に貢献している。依存症に対するアプローチに一石を投じることになると思うけれども、商業ベースに乗っているから、本当に困っている人、お金のない人(要するに真に瞑想を必要としている人)の手には届かないものであり続けるのかもしれない。

著者は瞑想の効果の源を知りたいと欲し、現在は仏教について勉強をされているようだ。行為を報酬として、行為の結果を動機としない在り方などについて、仏教の観点から詳しく解説されておられる。
でもね…

仏教の成立は2500年前。ヨーガの起源は5000年前に遡ると言われる。
お釈迦様はもともとはヨーガ修行を行じ、それを通じてご自身の思想を打ち立てられた。そして今、インドでは仏教はあまり信仰されていない。ちゃんと訳がある。(私はインド哲学の専門家ではないので、ここには書かない)

行為の結果を放棄する在り方を「カルマ・ヨーガ」という。マハートマ・ガンディーやマザー・テレサが行動の指針とした教えだ。カルマ・ヨーガの教典は「バガヴァット・ギーター」。現在でもかなり読まれており、日本でも訳本が数種刊行されていて容易に手に入れることができる。

「バガヴァット・ギーター」は割合成立年代が若く、ウパニシャッドなどもっと古い教えもある。昔々から口伝で伝わってきたのであろう教えを、まとめて分かりやすくしてくれた人がいたということ。ウパニシャッドには日本訳がないもの多く、現在少しずつ翻訳作業が行われている。ヨーガの基礎的な知識や、実際に行じてきた経験が無いと理解ができないものがほとんどで、私たちヨーガ教師は、ヨーガ・アチャルヤである師匠の解説を伺いながら、乏しい知識・経験のなかで理解に努めている。

「瞑想効くよ! 理由はお釈迦様が明らかにしているよ!」
って、ちょっと釈然としない気がしないでもないのだが、今の私は、間口の大きい「入口」の素晴らしさを理解している。だからブルワー氏のことも許す。むしろ称賛する。こんなに賢い人だから、仏教を理解した!と思った時に、インド哲学に導かれたりすることもあるかもしれない。

インド哲学知らなくても、楽になる人が増えるなら、絶対者ブラーフマンもお釈迦様も大喜びだよ。

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こちらは元祖の書籍。おススメ!

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