蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№468 愛の説教部屋?

川の瀬に立つ一つ岩乗り超ゆと 水たのしげに乗り越えやまぬ  窪田空穂


長女が誕生日にたくさんのお花を頂き、家の中に花が咲き誇っている。実に贅沢。
花は毎日手入れをしなくてはいけないのにそれができるのか、流儀花(いけばな。ちなみに小原流。)の稽古が役に立つのかと案じていたが、毎日ちゃんとやっていて感心する。これまでは活けるところまではやっても、あとはすべて私任せだった。

親しい人を喪うとこんな成長を強いられるのか、と思いながら見ている。それは哀しいことでもあり、同時に、故人に報告したいような、彼の影響力を思わせる嬉しいことでもある。

 

 

さて、私は一応「ヨーガ教師/認定ヨーガ療法士」という看板を出して仕事をしている。通常のクラスでは、ある場所に集まってもらって体操して終わりである。人もそういうクラスを想像している。

私が個人で受ける仕事の場合、「なんでそもそもヨガをやろうと思ったの?」というところから話が始まり、いわゆるダルシャナ(対話)の部分が相当に多い。いや、ほとんどダルシャナである。
体操を中心にお教えする方もいるにはいるが、たまにしかいない。これは私の内的感覚で決めている。存在が「こうしなさい」と言ってくるものに、従っているつもりだ。

ちなみに現在進行形で、体操中心の実習を行っている方がある。
平素から内的な感覚を大事にしておいでで、優れた言語センスをお持ちである。この方が個人として身体を統合することで、社会に何かがもたらされるような気がしてならない。
人間のあらゆる活動は、個人的なものではないのだ。私はこの方への指導を通じて、世界にひれ伏している。

 

行法をただお教えしてもそれが粗雑体レベルの実践に留まっているのであれば、私などいなくていい。ラジオ体操や自衛隊体操をやれば十分、という話である。

(注:自衛隊だけで行われている体操が存在する。陸上・海上・航空で少しずつ違いがあるらしく、三幕が集まるところでは出来ないという不思議な体操。陸上Ver.がDVDになっていて魂消た。そんな時代なんだな。)
 https://www.youtube.com/watch?v=uh4bs_FZKEI 

 

さて、そんな話ばっかりのセッションを先日終えた方が、とても素敵な振り返りレポートを提出してくれた。長いバージョンと短いバージョンがあるが、今日は後者をここでご紹介してみたい。「説明しにくい」と受講生皆が言う私のクラスとは、いったいどんなものなのか? 初めての人に一言で説明してあげて下さい、とお願いしたところ、

「愛と強さに溢れた説教部屋」と。

説教…? 

goo辞書によると、

せっ‐きょう〔‐ケウ〕【説教】 [名](スル)

1 宗教の教義・教典を、信者などに、口頭で説き明かすこと。また、その話。「牧師が礼拝で説教する」

2 教え導くために言い聞かせること。また、堅苦しい教訓をいう語。「親に説教される」


どちらかしら? 1であってほしいな…1よね…?
まあともあれ、こんな洒脱なやりとりができるようになるほどとことん話をさせてもらう中で、必要だと思った瞬間に行法(体操・調気法・瞑想・養生法など)を提示している。

行法は自分でやり抜いて実践としなければならない。
こういった対話技法を中心に据えてやっていくのは、既に十分な実力を持った方々なので、ご自分のライフスタイルと個性を土台に実践をデザインしていく力がおありだ。私は単に黒子、行法も黒子である。得られた情報を元に、自分の生き方のなかに、自然に行法を据えて行って欲しい。そしてそれがきっとお出来になる。時間はかかったとしても。

さて、頂いた感想に少し補足を加えて、以下にご紹介する。
ご本人のお許しは頂いている。この方は、芸術性を伴った高い身体感覚を有しておいでで、内的な感受性が非常に豊かである。これはモテるよね!、という感じで実際にモテてきたそうである。やっぱりな。

 


《受講前の心身の状態》

外からの刺激に翻弄され、刺激の発信元である外に意識を向けていた

・(自己の)内面は安心安全な状態ではなかった

他者の要求に応え、自分の弱さを隠し、他者の視点を推し量ろうとし、それ自体に揺らされている状態だった。

 

《受講により生じた変化》

・意識を内に向け、自身の内面に敏感になり、立ち止まって、深い呼吸で身体を落ち着け、心の動きに注意を向けるようになった。

・以下の点を意識するようになった。

 大いなる知性に身を任せ、結果を委ねる

 身体から「これでいいのだ」と言えるほどに、内面を徹底的に整える

 日々、様々なことが起きても(すぐに)判断を下さない

 大きな波をしなやかに乗りこなしながら、行為に専念する

 相手のエネルギーを感じ、力を抜いて(自分の)身体から紡ぎ出せる言葉を素直に表現する

 

《受講後の感覚》

・より自然で囚われがなく、自分の感覚と(それを)取り巻く空間に敏感となった

・しなやかに緩やかに生きることへの、自信とエネルギーが高まった

 

 

クライエント様と過ごす数カ月は、とても楽しい。この方との長い対話がないと思うと少し寂しい。いつか一緒にルンバを踊ってうっとりさせて欲しい(惚れてしまったらどうしよう)。また駒込で一緒に焼き肉を食べましょう。

Oさんに、心からの愛と感謝を。
更なるご活躍をお祈りしています!