蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№245 繋がっている体

今日は、ZOOMを使って書籍をザックリ解説する会を行った。
取り上げたのは、ノーマン・ドイジ氏の「脳はいかに治癒をもたらすか」。
参加者は、ゼミナールで出会ったお二人とそのご友人。
それぞれ東京・静岡・鳥取にいて、一緒に読書会。なんて贅沢なんだろう。続けてやっていきたい。

若い頃、20代過ぎたら脳細胞は死ぬばっかりで逆はないと言われていた。頭をぶつけたら「あ~あ、また脳細胞が減った」、なんて言っていた記憶がある。

でも今は、「神経可塑性」という働きがあるとわかっている。
神経可塑性とは、『自己の活動や心的経験に応じて、脳が自らの構造や機能を変える性質』のこと。

例えば、痛みに悩んでいる人は多いが、それを「もうどうしようもないことだ」と思ってあきらめておられる方が多いのだが、全然大丈夫。「痛い!」という脳の中の回路を、「痛くない」回路に変えればいいわけ。

痛いと感じる回路、もうダメだと決めている回路、実際の身体の使い方の回路などを変えていくことになる。
そんなに簡単に行く訳ないだろ?!と思われるでしょうが、確かに簡単ではない。
だってそれは、原野に新しい道を開拓していくようなものだから。これまでの道は「痛い」道だから、「痛くない」ルートを検索し直さなければならない。

でも諦めなければ、いつか必ず道はできる。必ず。

脳卒中や外傷性脳損傷パーキンソン病多発性硬化症自閉症、注意欠如障害、学習障害失読症含む)、感覚処理障害、発育の遅れ、脳の一部の喪失、ある種の視覚障害、こういったものに対する症例がこの本の中で紹介をされている。

実践、という言葉はとても難しく感じるかもしれないが、やれば必ず変わっていく何かがあるという希望の言葉でもある。
ヨーガでは肉体を「食物鞘」と呼ぶけれど、これは肉体が食べ物を元としてできている「モノ」だという認識だから。モノなら、材料となる食べ物自体や、食べ物を処理する今の肉体の状態を変えてやれば、体自体が変わるということでもある。

神経の働きを変えるために、光、音、電気、運動などのエネルギーを利用するのだが、とても大事なのは”思考”という電気信号だ。そもそも「変えられる」という”考え”を採用しなかったら、その為に実践など行わないだろう。

先日はYouTube投稿でも雑念についての話をしたが、反芻されるネガティブな思考を、自分自身を利するものに変えていかねばならない。まずは集中することで、この雑念から離れていく。

この書籍を手にしたのはちょうど1年前なのだが、これを読んで、ヨーガは脳の働きを変えているんだなと思ったのだ。大昔、行者さんたちは自分たちの五感を使って、自らの中身を感じ、実践によって働きが変わることを悟っていったのだろうと思う。今はいい時代なので、やる前から「変わるらしいよ」ということが分かっている。

せっかくこんな風に証拠もたくさんあるのだし、実際に自分の身体を通じて見出される新しい世界に、進んでいって欲しいと思う。そんなに難しいことばかりじゃない。症状や麻痺を克服するようなものだと大変だが、習慣を変えたり新しいことを習うことなら私たちは誰でもやってきている。

初めてABCを習った時のような気持ちで、身体を通じて何かをやってみたら、きっと世界が変わる。嘘じゃないよ。

オランダの先生が、実践に関するゼミナールを開講してくださる事になった。とても嬉しい!
私たちは、この小さな自己(自我)を通じて世界と繋がり、同時に自分たちの中に大きな自己(世界)を抱いている。
実践は世界を変容させる。きっと先生もそう思ってる。

 

脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線

脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線