蓮は泥中より発す

心身一如に生きるヨーガ教師の日記

№527 短歌2020 

【2020年 引用した短歌等の記録】 
 
12月
31 元気だよ君はおっちょこちょいだから雲の上からのぞかないでね   西村湯呑
  からっぽでよかったいつか充たされて溢れる日々のしあわせを知る  嶋田さくらこ
30 空っぽの病室 君はここにいた まぶしいくらいここにいたのに    木下龍也
29 ゆうぐれの森に溺れる無数の木つよく愛したほうがくるしむ      木下龍也 28 君という特殊部隊が突き破る施錠してない僕の扉を          木下龍也 27 鳥の見しものは見えねばただ青き海のひかりを胸に入れたり      吉川宏志 26 人生に付箋をはさむやうに逢ひまた次に逢ふまでの草の葉       大口玲子 25 蛇行する川には蛇行の理由あり急げばいいってもんじゃないよと     俵万智 24 遠くからみてもあなたがあなたとわかるのはあなたがあなたしかいないから 
                                  萩原慎一
23 みずたまもなにかこらえて丸くいる清らかなひかり湛える力      柳谷あゆみ
22 みつばちが君の肉体を飛ぶような半音階を上がるくちづけ       梅内美華子
21 君の手の甲にほくろがあるでしょうそれは私が飛び込んだ痕       鈴木晴香
20 こちらは雪になっているのを知らぬままひかりを放つ遠雷あなた    小林久美子
19 ゆめにあふひとのまなじりわたくしがゆめよりほかの何であらうか    紀野 恵
18 白銀の街がきらめく朝が来て君が何処かにいるだけでいい       山田水玉
17 名を呼ばれしもののごとくにやはらかく朴の大樹も星も動きぬ     米川千嘉子
  降る雪は白いというただ一点で桜ではない 君に会いたい      鈴木晴香 
16 空よそらよわたしはじまる沸点に達するまでの淡い逡巡         東直子
15 輪になってみんな仲良くせよただし円周率は約3とする         松木
14 われの生まれる前のひかりが雪に差す七つの冬が君にはありき     大森静佳
13 想うとは水ににじんでふるえる声紋 けばだちながら積まれゆく雲    井辻朱美
12 冬のひかりに覆われていく陸橋よ だれかのてのひらへ帰りたし     内山晶太
11 おごそかに隔つるもののあるをおぼゆ愛すといへど恋ひすといへど    前田夕暮
10 約束の果たされぬ故につながれる君との距離をいつくしみおり      辻 敦子
9 肌の内に白鳥を飼うこの人は押さえられしかしおりおり羽ぶく     佐々木幸綱
8 わがこころ君に知らればうつせみの恋の籬よ超えずともよし      伊藤佐千夫
7 あひ見てののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり        藤原敦忠
6 形なきものを分け合ひ二人ゐるこの沈黙を育てゆくべし        小島ゆかり
5 ためらひもなく花季となる黄薔薇何を怖れつつ吾は生き来し      松田さえこ
4 月に立つ君のそびらのひとつほくろ告げざれば永久にわれのみのもの   青井 史
3 封筒を開けば君の歩み寄るけはひ覚ゆるいにしへの文        与謝野晶子
2 風。そしてあなたがねむる数万の夜へわたしはシーツをかける      笹井宏之
1 落日のなかを一途に逢ひにゆく矛盾を越えて迫りくる人        辻下俶子 
 
11月
30 きれいごとばかりのみちへたどりつくわたしでいいと思ってしまう    笹井宏之
29 陽だまりにとめどない黄よ落葉はまた逢うための空白に降る       江戸 雪
28 てのひらにてのひらをおくほつほつとちいさなほのおともれば眠る    東直子
27 掘り下げてゆけばあなたは水脈で私の庭へ繋がっていた        笹井宏之
26 体内にしたたる翠(みどり)暴れる日抱きとめられねば胸から跳ねる   陣崎草子
25 美しき胸鎖乳突筋をもて人はいくどか振り返りたり           永田紅
24 君は君のうつくしい胸にしまわれた機械で駆動する観覧車        堂園昌彦
23 なきひとはひかりをとほしゐたりけりこのわたくしはひかりをかへす    小池純代
22 このひとに触れずに死んでよいものか思案をしつつ撒いている水     陣崎草子
21 風を浴びきりきり舞いの曼殊沙華 抱きたさはときに逢いたさを超ゆ   吉川宏志
20 生えぎわを爪弾きおれば君という楽器に満ちてくる力あり        俵万智
19 人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天        永田紅
18 簡潔に君が足りぬと思う夜 愛とか時間とかではなくて          俵万智
17 「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい     笹井宏之 16 水蜜桃(すいみつ)の汁吸うように愛されて前世も我は女と思う     俵万智
15 逢えばくるうこころ逢わなければくるうこころ 愛に友達はいない    雪舟えま
14 「また電話しろよ」「待ってろ」いつもいつも命令形で愛を言う君     俵万智
13 焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのおとうさんが好き    俵万智
12 君の目に見られいるとき私はこまかき水の粒子に還る         安藤美保
11 「愛に傷つくまで愛しなさい」…               K・ウィルバー
10 さみしくてあたたかかりきこの世にて会い得しことをしあわせと思ふ  河野裕子
9 あなたは必ず愛と共にあれ…           ジェラルッディン・ルーミー
8 星の死を知らずに生きていくように君の不在が日常となる        谷川電話
7 雪まみれの頭をふってきみはもう絶対泣かない機械となりぬ       飯田有子
6 全存在として抱かれいたるあかときのわれを天上の花と思わむ     道浦母都子
5 川の瀬に立つ一つ岩乗り超ゆと 水たのしげに乗り越えやまぬ      窪田空穂
4 美しき誤算のひとつわれのみが昂りて逢い重ねしことも         岸上大作
2 いつか手が触れると信じつつ いつも眼が捉えたる光源のあり      萩原慎一
1 君がもうそこにはいないことだけを確かに告げて絵葉書が届く      松村正直
 
10月
31 なんというドラマチックな夜だろう たった一つのことだけがある    辻井竜一
30 いつか突然私たちの出会う日がくると… 「未生」        谷川俊太郎 
  わがこころ環(たまき)の如くめぐりては 君をおもひし初めに帰る    川田順
29 本当の愛は、痛む。…                    K・ウィルバー
28 死の側から照明せばことにかがやきてひたくれなゐの生ならずやも   斎藤史
27 立てるかい 君が背負っているものを 君ごと背負うこともできるよ    木下龍也
26 体などくれてやるから君の持つ愛という名の付く全てをよこせ    岡崎裕美子
23 刻々にくり返す波として私は生きている…  「陽炎」         谷川俊太郎
18 どうしても君に会いたい昼下がり しゃがんでわれの影ぶっ叩く    花山周子 
 
 
〈参考文献〉
俵 万智「あなたと読む恋の歌百首 」文春文庫(2005/12/6)
東 直子, 佐藤 弓生, 千葉 聡 「短歌タイムカプセル」書肆侃侃房 (2018/1/23)
笹井宏之「えーえんとくちから」ちくま文庫(2019/1/10)
木下龍也「君を嫌いなやつはクズだよ」書肆侃侃房; 第2版 (2016/4/29) ほか
 
きみを嫌いな奴はクズだよ (現代歌人シリーズ12)

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  • 作者:木下 龍也
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  • メディア: 単行本(ソフトカバー)