蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№69 旅先にも本を持って

読む本に飢えて、久々に図書館へ行ってきました。
購入を検討している本はどれも高価な上、内容が重く、「今ではない」ような気するのです。

さて図書館です。
アフィニティ・コナー「パールとナスターシャ」、ウェンディ・ロワー「ヒトラーの娘たち ~ホロコーストに加担したドイツ女性」、トム・ハンクス「変わったタイプ」、そしてプラハのガイドブックを借りてきました。これでしばらく楽しめそうです。

週末には名古屋への出張があります。JRでの移動で読書をするのが大好きです。私の住む地域から山陽方面へ向かうのに通過する、伯備線という路線の特急は非常に揺れると悪評が高いのですが、慣れたもので本を読んでも乗り物酔いなどしません。
旅行にはいつも文庫本を数冊持参しますが、ハードカバーの本を読んでいる時には迷わずそれを持って出掛けます。「重い」とか「邪魔」などと仰る方がおられますが、ふとした時間に開く本が無いことに比べると、そんなことは屁でもありません。

25歳の夏、「青春18きっぷ」を利用して、岐阜~米子~防府佐世保?~長崎というルートで帰省しましたが、その時のお供は、各務原図書館で借りたサマセット・モームの「人間の絆」(全集版)でした。

あの時は、いつか自分が米子の住人になるなんてまったく思っていませんでした。途中、乗換のためにしばらく時間を過ごした浜田に、また行くことがあるとも思いません。子供を産むことも、前職を辞めるなんてことも、この年になってこんなことを考えながら生きているということも、想像もしなかった。振り返っても、当時の自分が何に悩んでいたかなんて思い出せません。ということは、今の自分の悩みも20年後には思い出せもしないのでしょう。

でも、読んだ本のことは忘れません。
今でも、あのモーム全集の重みや手触りを思い出します。本ってそういうものです。纏わる思い出もセットで本なのです。
今、田島貴男さんの曲を聴きながらこの文章を書いているのですが、彼は旅行に行くときには、たくさんの本を入れた重たいかばんを持ち歩くそうですね。最近、出張が多いんだから電子書籍にしなよとか言われてうんざりしていたのですが、田島さんのことを聴いて、私も胸を張って重い本を持ち運ぼうと思いました。ありがとう!田島さん。