蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№700 フライング誕生会

6月23日
昨夜、フライング誕生日祝いをして頂いた。
大変な金額のウィスキーを入手して頂きそれをみんなで賞味するという、誕生日にかこつけた会だったのだが、その大変な金額のウィスキーは私がいつでも飲んでよし!というお許しつきである。なんとまあ贅沢な…

20時開店のバーMarujinのドアを20時ちょうどくらいに開けると、カウンターにずらりと並んだ皆様が一斉に「あ、ようやく来た」という顔で私を迎えてくださる。20時開店のはずなのに皆さん19時から飲んでいたらしい。参加メンバーはウィスキーを買って下さった病理医H先生の仲良しさん達である。

はじめてお目にかかるお二方含めた5名様とマスターにお祝い頂き、まずはショートカクテルで乾杯。私はお気に入りのホワイトレディで。その後みんなの「早く開けろー」という声を受けてマスターが封を切って下さった。

国産ウィスキーは現在全国的に在庫がなく価格が高騰しており、十ン万もしたということを初めてお目にかかる方があっさり私にばらしてくれて、思わず引き付けを起こしそうになった。えらいこっちゃ…。そのはじめての方(不動産関係)は人当たりの良いお言葉の達者な方で、「いやー、今日は素敵な美女(=私のことらしい)と一緒にウィスキーが飲めるからと聞いて喜んで来たよ~」と、お連れの女性と共ににこにこ笑っておられる。キッカケはなんであれ、みんなで一緒に美味しいお酒が飲めるならそれでOKじゃないか!

こんな高価なものを賞味させて頂いて申し訳ないので何かお礼をと思っていたが、「カラオケを一緒に歌ってくれたらそれでいい」とのことで、皆さん一緒に数メートル離れたスナックへ行った。バーに来たのにスナックへ出張するとは生まれて初めての体験である。

石川さゆり松田聖子どっちがいいですか?とH先生にお尋ねすると「聖子ちゃん」と即答され、“Sweet Memories”を歌ってみた。それを受けてH先生が「じゃあ僕も!」と裏声で「青い珊瑚礁」を歌ってくれたのだが…この方、60代である。60代男性が裏声で歌う聖子ちゃんを聴いたのも人生はじめて。遅れて参加して下さったM社長も歌って下さったが、この方は大学で声楽を修められたプロのソプラノ歌手である。もうみんな「ナニコレ…」と絶句。次はM社長とさしで飲んで、アカペラで「ラ・トラヴィアータ」のヴィオレッタのアリアを歌ってもらいたい。

 

昨夜はいちおう主賓なので、東京出張中のようなキレイげなカッコウをして9cmヒールのサンダルでキメて見た。米子で一番エロい男、と私が思っているMarujinのマスターにも「おかあさん、今日どうしました?!カッコいいですね」と言われてちょっとうれしい。しかし「ネックレスが足りない」などとツッコまれて、ガッカリである。

深夜、M社長と別れて一人でふらふら歩いて帰宅途中、見知らぬ酔っ払ったおっさんに、マスターから頂いた誕生日プレゼントをぶらぶらぶら下げていた手を掴まれそうになってほんとにビビった。人生これまで生きてきて、逆セクハラ!と後輩男子に叫ばれたことはあっても、痴漢などにも遭ったことが無い私。こんなことは生まれて初めてである。

ん十万もするウィスキーを「おかあさんのためにキープ」と言われたのも初めて。60代男性が裏声で「青い珊瑚礁」を歌うのを見るのも初めて。カラオケつきスナックでマジで歌うオペラ歌手を見るのも初めて。おっさんに腕を掴まれそうになるのも初めてである。いったい私の人生はどげな案配になってきているのであろうか?刺激的過ぎてクラクラする。


昨日に引き続き、今日もフライング誕生会。本日の主賓はJK剣士。
米子で最高の寿司屋さんといえば“せいじ”。大事なお客様が県外からお見えになればここにお連れする絶対間違いのない店である。今日はJK剣士人生初・回らない寿司体験で、至福の時間となった。

おにいちゃんがなくなったとき、この“せいじ”の若大将が下さったメッセージが強く胸を打った。今この瞬間の衝撃をそのままに、一切の虚飾を排してただ吐露して下さったそのお言葉を、私は今も忘れられない。亡くなってから8カ月、この店でおにいちゃんを偲ばなければと思いつつどうしても来ることができなかった。
まだお酒も飲めないJK剣士をここに連れてくるのは「バカもーん、まだ早い!」と言われそうだが、JK剣士がそばにいてくれたからなんとかここで若大将と平静に言葉を交わすことができた。お祝いに、と言って大変珍しいまぐろの喉肉を頂戴した。いつもながらお心のこもった丁寧なおもてなしで、和んだ。

色んなはじめてがある。暦年齢なんてただの記号みたいなものに過ぎず、やっぱり一瞬一瞬が初めてで、それを日々新鮮に受け止めて生きたいと思う。