蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№205 ヨーガで痩せられるか

4日夜の食中毒で寝込んだ後は、外出が多く、随分と忙しかったなあ。
今週は自宅で静かに過ごせそうだ。

さて、ヨーガを身体的な側面だけで捉えている人にとって、「ヨーガで痩せられるか」というのは気になる問題のようだ。

事実、講座でもダイエットについて取り上げて、3か月かけて考えてもらった(実践については各々にお任せした)。単に痩せる方法を学ぶということでなく、肉体という自分の一側面を通じて、自分自身をよく理解して頂く事が目的だ。

私だってDVDにお世話になっていた頃には、ヨーガに対して軽い認識しかなかった。痩せたーい、とも思っていた。今考えると赤面もの。

肥満というのは複雑な疾患である。
遺伝的な要因もあるし、長期的に、複数の視点からのアプローチが無いと、減量には失敗するだろう。リバウンドの悪影響も恐ろしい。

本気で痩せたい人に、教室ではお会いしたことがない。
「痩せたい」という言葉を「楽に痩せる方法を教えてくれ」という意味で使っておいでの方が多い。学問に王道がないように、体重・健康管理も、1日も欠かさず一生続く取り組みであって、王道はない。
「痩せたい」という表現に、別の思いが込められていることも多い。
違うことを望んでいることに、ご自身が気付かれていないことも多い。

ヨーガ的ライフスタイルを送っていれば、体重を減らすことは難しくないと思う。
・運動
・調気法
・瞑想
・(体質によるが)断食、もしくは間欠断食
・健康的でシンプルな食生活
・食に関する依存がない

これらの実践を、毎日当然のように継続していけば、ストレスホルモンの分泌量も抑えられ、インスリン値も下がっていくのは間違いない。肉体も脳の働きも一新されるだろう。1年も経つころには、いったい何に悩んでいたんだろうと思うのではないか。

そもそもヨーガは、人間としてよりよく生きるために、まずは自分の感覚器官を制御していくところから始まる。体操はその入り口である。
食べることに対する執着も超越していくから、結果として体重も減るだけであって、それが目的であればそもそもヨーガではない。

肉体よりももっと力の大きな「心」というものを制御すること、そして、意識にも上らない記憶や、自我意識まで癒していきたいという願いもある。
皆にヨーガをして欲しい訳ではないけれど、一般に思われているよりも奥深いものだということを、発信していきたいものだ。

スワミ・ヨーゲシバラナンダ大師は、ご自身で死期を決められ、五穀断ちをして遷化されたときく。
私も、いつか年老いた時、そんな制御が自分の肉体に対して行えればいいなあと思う。
秋だから、梨や柿が食べたい、などと思っているのでは、まだまだ。