蓮は泥中より発す

心身一如に生きるヨーガ教師の日記

№410 呼吸は鼻で

「正しい知識根拠によると、外界の地は身体を構成している地と同じである。外界の水などの諸元素もまた、すべて身体を構成している元素と同じであると知られるべきである。」 ウパデーシャ・サーハスリーⅠ 9-2

 

 

今日は呼吸の話を。
深呼吸をしてはいけないと知っていただろうか?

「深呼吸して!」とはよく聞くアドバイスである。
ヨーガを行ったことがある方なら、そうそう簡単に深呼吸などできないことがわかるだろう。

息を深く吸えば同じだけ深く吐くことになるので、二酸化炭素を失い過ぎてしまい、血液中から酸素が放出されなくなる。結果的に組織では酸素が欠乏し、ますます苦しくなってしまうのである。
深呼吸の代わりに、鼻呼吸を意識的に行おう。

 

さて、あなたは呼吸をどこでしているだろう。鼻だろうか、口だろうか?

あなたの鼻はエアコンのようである。
左右の鼻腔にある多孔質の骨が空気を攪拌し、細い流れにして鼻の奥にある小さな通り道に送る。
この通り道は粘液をつくる粘膜によって覆われていて、空気の湿度と温度を調節し、さらにごみを取り除くための線毛が生えている。

鼻腔でやっているのは空気の調節だけではない。
空気抵抗を生じさせることで、より効率よく血液に酸素を送り届けている。

鼻呼吸は、ホースにノズルをつけて水をまくようなもの。
蛇口から出る水の量は同じでも、圧力によって水を速く、庭の遠くにまで飛ばすことができる。
鼻は酸素を肺の底にまで送り込むのだ。

実験してみよう。
呼吸を二回してみて欲しい。一回は鼻から、もう一回は口で。
どちらも同じくらいの量を取り込むつもりで。
そして身体の反応の違いを感じてみて欲しい。

 

鼻呼吸では横隔膜と下部肋骨が連動して動き、空気を肺の下側まで送り込むことができるため、酸素吸収が最も効率よく行われる。
口呼吸の場合、胸の上部が使われて、空気は肺の上部に入っていく。

胸でする呼吸が極端になると、鎖骨や肩が持ち上がり、余計な筋力を使うため、心拍数が上がってしまう。そうすると肺の中を流れる血液のスピードが速くなりすぎて、酸素の運搬は減ってしまう。
その結果、さらに早く、浅く、努力して呼吸をしなければならない悪循環となり、心臓への負担も増す。

胸の上部でする呼吸は、緊急事態に対処する交感神経系と関係がある。
交感神経系は、アドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンを血流に放出し、からだが活動するための準備を行うが、この反応が実際の危険に対処するものであって、活動によりホルモンを使い切っているのでなければ健全なものとは言えない。

 

鼻呼吸だと自然と呼吸が遅くなる。
鼻から吐くと、肺での酸素交換率が高まる。また、鼻呼吸には副交感神経との関係もある。この神経は一般に身体の損傷を修復するためのものだ。

健康面でのメリットに加えて、鼻呼吸は姿勢もよくしてくれる。
腹部のサポートが正常だと、鼻からの呼吸で胸郭下部が広がる。それによって胴体が伸びて、下部脊椎にかかっている圧力が減る。

 

いつも口で呼吸していると、健康的な呼吸がうまいかない。
慢性的な鼻詰まりがある場合は、ヨーガのマントラや調気法、浄化法などが有効だ。
たとえ時間がかかったとしても鼻呼吸の習慣を取り戻して欲しい。