蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№350 ストレス時の脳波

「運動器官を制御しても、意思が感覚器官の対象物を捉えつつ座している心迷える者は、ニセ行者と言われるのだ。」   バガヴァッド・ギーター Ⅲ-6

 

目を覚まして活動しているとき、脳にはベータ波が出ている。
高い時と低い時では、心身に与える影響が異なる。

13~15㎐を「低ベータ波」という。
日常的な意識状態のこと。

なかでも、SMR波(Sensory Motor Rhythm:感覚運動リズム)と呼ばれるベータ波の一種が出ているとき、冷静で集中した状態になる。

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以下、SMRについての余談

脳波をコントロールすることでパフォーマンスを高めたり、リラクセーションを促す「ニューロフィードバック」と呼ばれる脳波トレーニングが欧米を中心に広がりを見せているそうだが、何かひとつの、ある特定の状態を“いいもの”として捉えるのは、西洋的なものの見方の病理であると感じる。

シータ波を「ぼんやり脳」といってしまことがあるだが、そうではなく、自らの感覚を大事にして状態を移行できさえすればいいのだ。

先日見たように、シータ波にも重要な効能がある
ここを無視すると、無意識的なストレスが身体的な疾患となる恐れがある。

座る瞑想だけでなく、身体を動かすことを通じて実践を行っていると、ぼんやりした状態から、覚醒した状態やリラックスした状態に移ることができるようになる。

状態を自分の感覚で感じ取る能力、そして移行できる手段を持っていさえすればよい

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15~25㎐は「高ベータ波」。
作業に集中すると観察される。

同時に、ストレスがかかると異常に発生するものでもある。

喧嘩、無理な仕事、夜中の恐ろしい音、トラウマ、過去の嫌な思い出…
これらについて考えてしまうとき、高ベータ波が放出される。

なので、「高ベータ波=ストレス状態」である。
この時体内には、コルチゾールとアドレナリンが多量に分泌している。

恐怖、不安、葛藤、怒り、非難、罪悪感、羞恥心という感情が浮かぶ。

前頭前皮質への血流が80%抑制され、酸素や栄養が不足する。
合理的思考ができず、客観的判断や意思決定ができなくなる。

細胞内の有益な機能が阻害される。
肉体の老化が速く進行する。


こういう状態に常時置かれていたら、肉体は病むだろう。
からだが丈夫な人でも、精神が病んでしまう。

現代のストレスのほとんどは、頭のなかにあると言われる。
毎日生きていれば、実際に怒りを覚える出来事はあるだろうが、それを上手に「なかったこと」にできるひとがいるということなのだ。
(その感情を“怒り”として知覚しないことも、練習の結果できるようになる。)

実践を正しく行うことで、能力は発揮しやすくなる。

実体験として感じているのは、10年前には難しくて読み進められなかった本が、理解できるようになったことや、怒りを始めとする負の感情がそもそも湧きにくくなったこと。
結果的に生きる感覚が変わり、心は穏やかになり、ワクワクとした好奇心をもって新しい物事や関係性に開かれていくことができた。

もしあなたが怒りなどの感情に苦しんでいたら、放置しておいてはいけない。
それは実際に、あなたの体を痛めつけるから。

また、心に生じた苦痛は肉体から癒してやると良い。
人類は長くこの問題について悩んできた。
伝わってきた叡智を活用してほしい。