蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№653 つま先立ち筋トレ

ふつうならあるいてむかうところだがふつうがわたしをとおりぬけていく  望月裕二郎

 

 

5月6日

晴れた。青空が見える。
昨日は雨のなか巣鴨を歩いていた。イナカ者の特性として雨の日に外を歩くことがまずない上、出張先なので履物がハイヒールだということが雨の日の気分をションボリさせる。先日も規夫師匠との会食後に店を出たら土砂降りの雨になっていて、その日おろしたばかりの新しい”靴その2”を履いて、傘も持ってないなか御徒町駅まで小走りで向かったのもかなりのションボリ度だった。しかしこんなことで「ややションボリ」を繰り返しておかないと、そもそも生きているだけでハッピーだという紛うことなき事実に慣れて不感症になってしまうのでたまにはいい。

 

今回持参している”靴その1”はストーム付きで10㎝ほどのヒール高になる。ストームというのは靴のつま先部分のソールに厚みを持たせる加工のことで、これがあると足の疲労感が各段に違う。
先日ご一緒した秘密の美女はロングスカートに地下足袋風の靴をお履きになっていて、驚いた。ヒールのある靴が苦手だということで、その話は教室でもよくお聞きする。「出張したときたまに履くヒールが苦痛で気が重い」ということを仰る方も(たぶんたくさん)おいでになるのだが、ここぞとばかりにハイヒールを出張に履いていく私は変人なのだろうか? ちなみに地元では車の運転の際にヒールが邪魔なので、あまり履かない。

昨日も長女ぶーちーから「ママは都内をハイヒールで歩いて苦しくないのか?」という旨の問いがあったが、これに対する答えはからだつくりに対する大事な示唆を含んでいると思うので、今日はそのネタを書いてみようと思ってここまで延々ハイヒールネタで前振りしてみた。


ハイヒールが苦痛でなくなったのはYogaのお蔭ではないが、間違いなく身体機能とハイヒールを履きこなせることは密接に関わっている。
ハイヒール熱がここまで高じたのはこの1年ほどだが、苦痛でなくなるきっかけがまずあり、その後積極的に履きこなすようになった。ちなみに頻繁にハイヒールを履くようになってから足指で完璧にぐーちょきぱーができるようになったし、指と指の間がしっかり離れて、足指で床を確実に捉えることができるようになった。


2014年に岐阜県多治見市のセラミックパークMINOでヨーガ療法学会研究総会(=全国各地からヨーガ療法士が集まるアヤシイことこの上ない会。開会式と閉会式ではみんなでマントラを詠唱する)が行われたときのテーマが「脳科学から見るヨーガ療法」ということで、痛みや加齢による認知機能の低下などについてのお勉強をしたんだけれども、島田 裕之先生(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, センター長 現在)の特別講演で「認知症予防にはダンスが最高なんだ!」というお話を伺って「そりゃあいちどやってみたいなあ」と思ってみたら、なんだかんだで結局丸1年間毎週マンツーマンレッスンを受けることになったのだった。

「やりたいなあ」と思っただけで1年間マンツーマン指導を受けるなんて、いま振り返っても我ながらけっこう気合が入っている。そして社交ダンス=ボールルームダンスで、ええと…ワルツ、タンゴ、ジルバ、ルンバ、チャチャチャ、サンバ?とかを習ったような。最後は映画「マスク」の音楽に合わせてかなり激しいダンスをご披露するために準備していたのだが、衣装代等々の負担が大きくて断念した。

このとき履くのはダンスシューズでヒールは7㎝。モダン用とラテン用(サンダル)がある。ダンス用なので激しく動いても大丈夫な造り、とは言えハイヒールには違いない。いつもかつもジャージで日に3回(当時)レッスンをしまくっていた私が、スカートにハイヒールで男性(バカボンのパパみたいな先生)と超接近し(右の腰骨どうしを当てる感じ?)、手に手をとり合って踊るという体験は人生の幅を広げる行為、いわゆるダイナミクスそのものだった。

 

別に難しいことを言われるわけでもなく、70代の大先生(女性)とバカボンのパパみたいな先生に励まされて踊っていたら、いつの間にか普段でもハイヒールがイヤじゃなくなっていて、おしりはキュッと上がり(=下半身の筋肉が強化された)、結論としては「これは認知症以外にも諸々予防になる素晴らしい活動だわ!」ということが確認できたが、方向性によってはお金がかかって大変である。

気軽なダンスパーティーで踊るならそんなにお金かかんない。たぶん参加費1000円くらいから。でも知らない男性と密着するのはイヤ。しかもすごく密着してくるので、目的自体が違うことがわかる。パートナーを固定したいと思っても私みたいなデカい女のパートナーになってくれる人はどこにもいないから、マンツーマン指導を受けるしかない。どうせやるならうまくなりたいと思うと、これもやっぱりマンツーしかない。ということで継続ができなかったが「いつか機会があればもう一度。そして今度はぜひタンゴを!」という野望は胸にある。

 

と、いうことでハイヒールは筋トレとして超おススメ。ゼッタイに膝を曲げて歩かないで、足先は外に向けて開いてね。骨盤はやや前傾させて歩きます。毎日セルフケアをして外反母趾予防も行ってください。靴選びも大事です。歩きやすい靴ってあります。ダンス用を室内で履いて訓練するのは、からだづくりにいいかもしれません。

骨盤底筋、内転筋をはじめとする体の軸をとる筋肉がしっかりしていれば、ハイヒールなどなんぼのもんじゃい。レッツトライ・ハイヒール。

でもできれば紳士と一緒のときには、「足は痛くない?」といって優しく労わってもらいたい。どうぞよろしく。