蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№488 からだの底

美しき胸鎖乳突筋をもて人はいくどか振り返りたり   永田紅

 

  

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初めての月命日。真っ白は寂しいから、少し色味を加えてもらったお花。



今日は亡きお兄ちゃんの月命日。一か月が経ったのか。

JK剣士の入門当初からお世話になっている先輩ママ、Fさんはお花屋さん。
同じ流儀(小原流)での名取さんでもあり、長い付き合いで仲良くさせて頂いている。
視野の狭い私の“ママ友”は、世界にこの方だけ。

亡くなったとき枕花をお願いしたところ、「夏に誕生日のお花を送ったばかりのに、なにがあったの」と聞いて下さった。そのお言葉が身に沁みた。

お兄ちゃんの誕生日は7月28日。今年55歳。うっかりものの私は3日早く花を送ってしまい、フライングの祝いだと二人で笑った。ほんとうの誕生日の前後、私は大崎に滞在していた。東京にいるときは一緒に出歩いたり、自宅にお邪魔したりしていたのに、なぜかこのときだけは「早く言わないと無理なんだぞ」と叱られた。後にも先にもこんなことで叱られたのはこのときだけ。いつも”なんとかなるさー”というノリだったのに。
もっと早く連絡していたらよかった。悔やむ心と哀しみは消えない。

 

 

まだ生きることを許されている私は、誰かの健康に寄与したい。
先日夜遅く、O先生と打ち合わせという名のおしゃべり。どこまでも拡がる話のテーマは、インテグラルな健康から離れない。

ビックリしたのは、O先生クラスの理学療法士さんになると、その方の体型(筋肉の付き方?)や動作を見ただけで、人が誰にもバレていないと思っている症状がバレバレなのだということ。しかも未来予知みたいなことまで仰る。
透けて見えるメガネならぬ、透けて見える眼力?!

あら腰が悪いのね、とか膝が痛むらしい、くらいのことは私にもわかる。
ところがO先生の話は、外からは見えない内的な筋肉が関わる領域の話なのである。
この話を伺って一晩寝て夢で発酵させたところで、今日は骨盤底筋について触れたい。

 

若いのに尿が漏れる女性が多い。多くは40代以降、早い人は10代から。くしゃみをしたら…という経験がある方は、少なくないと聞く。

 

なぜそんなことになるかと言うと、体の底をバケツのように支えている筋群の力が弱いからである。この筋群を「骨盤底筋群」と呼ぶ。


お産後の女性は身体が物理的にダメージを受けているので、直後からケアをすることが大切である。アーユルヴェーダでは、出産は人間が経験する最大の力(Vayuというエネルギーに晒される)で、肉体のみならず精神まで異常を来すと教えている。お産で頭がおかしくなることは、最初から含んである。インド人はさすがだ。
こんな状態になってしまう産後のケアが、その後の女性の健康に長くかかわっていくと、私たちの多くが知らない。その影響は、更年期や老後、そしてパートナーとの関係性にまでも広く長く関わってしまう。

このことの重要性を伝えようとすると、言葉では尽くせなくてその場で暴れまわりたくなる。病院等で指示される産後ケアはあまりにもお粗末だからである。素晴らしいケアをしているところもあるのかもしれないが、私の周囲には無い。

ヨーガを個人的に実践しプラーナーヤーマを体得している助産師さんによる指導ならばともかく、出産時の呼吸法練習も行き届かないし、底筋群のケアに到っては何を指標にして行っているのか不明確である。
それを指導しているあなたの底筋群は健康なのか?
肛門と膣と尿道を区別して動かせているのか?

妊婦さんは全くピンと来ていない状態で母親学級を受け、いつ刷ったのかわからんような古臭い冊子を元に「ひっひっ、ふー」とやっていることがある。
お産と授乳で疲労しきっているのに、生んだその日から自分で会陰を締める運動を効果的に行えるとは思わないし、その重要性は教育されていない。

エラそうに何を言っているのかとお叱りを受けるかもしれないが、母親やお姑さんが、娘や嫁をマタニティや産後のためのプライベート・レッスンに送り込んでくるので、私もリアルに向き合っている。

妊娠もお産も、呼吸と同じくパーソナルな経験なので、ママが満足いくお産をすることがなによりも大事。そのことが健やかな子育て、そして子供の発達の基礎になっていく。お産の過程で我慢をせず(病院側の都合に合わせない)、自分の流儀を貫く逞しさをもって、”産む”という稀有な体験を満喫して欲しいと願っている。

私個人は不幸な妊娠とつらい妊娠、そして満足のいく出産を経験した。無事生み出せた確率は50%。私にとって妊娠とは病気であり、キャリアを壊す力だった。今、結婚という枠組みに対しても、夫婦という関係性に対しても思うところが多くある。
それでも子供は多くを与えてくれる。子を持つことは、逆指名制度だから拒否は許されない。私にとって子供とは、救いを与えてくれる美しい蓮の花、そして闇のなかで道しるべとなるひかり。

  

 

 

女性の多くは体型を気にするがゆえに、身体を締める下着を用いていることが多い。
これが私は大嫌い、そして大反対!呼吸が大きく阻害されるからだ。
呼吸が阻害されれば、いつか心身の健康は阻害される。ヨーガ・スートラも教えるとおり。

 

呼吸という活動によって、胴体は全方向に動いている。吸ったときと吐いた時で胴囲に差が生まれるのが自然だ。
下着でこの動きを押さえてしまうと、自分の筋群がサボる。助けてやってもサボらないのは腎臓くらい?どこもかしこもすぐにサボろうとするのが人間のからだ。
「下着にやらせとけばいいんだよ」と、自らの筋たちに思わせていないだろうか?

 

 O先生にはバレている。
その筋肉の付き方ならばくしゃみをすれば尿が漏れるであろうことも、そのことが他の痛みと関連していることも。尿漏れに真剣に取り組まないと、認知症のリスクが上がっていくこともお見通しなのである。

 

だから、これを読んで「ヤバい」と思った人は、まずは自分のからだをちゃんと見ることからはじめて欲しい。美しい体型と言うのは健やかさと表裏一体だから、「ここをこんなふうにしたい」という明確なイメージを持って欲しい。

意識の力は怖いくらい強いということは、ここでも度々申し上げている。思っているようになるから注意した方がいい。特に体はモノであるがゆえに、精神の影響を強く受ける。
肉体は自己の宮殿と言われる。「私という自己は、こんな肉体のなかに宿りたい!」というイメージを明確にして欲しいと思う。健康へのイメージでもいいし、愛する人に美しいと言われたいという思いでもいい。あなたは、あなたのからだのなかでどこが一番好きだろう? 

ちなみに私は、上腕二頭筋と肩甲骨の境目?にできるえくぼが好きだ。姿勢に対する意識が保てていることを教えてくれる。ホルターネックの服を着るか、裸にでもならなければ、誰にも見えない。

 

注意して頂きたいのは、残念ながら世間一般で言われているアドバイスは役に立たないことが多いということ。
O先生と私は情報を取捨選択し、自ら、時には過酷な?人体実験を繰り返したうえでご指導させて頂いている。だから、私たちには阿吽の呼吸が成立するのかもしれない。自らが属する業界に対する客観性も、私たちに共通する視点である。

 

冒頭の歌にある胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)は、耳の後ろから鎖骨の中心へとつながっている筋肉で、女性の美しさが映える部分である。
思わずキスをしたくなるような、胸鎖乳突筋も育てたい。Yogaでできるよ。