蓮は泥中より発す

心身一如に生きるヨーガ教師の日記

№294 神経と私のあいだに生じている誤解について

さて、前回、目の玉をゆっくり動かしてみるという実験をしてみた。
目の玉をゆっくり動かそうとする時、あなたは何を考えていただろうか。 目の玉を動かすことしか考えていなかったと思う。
治癒へのヒントはここにある。そしてここにしかない。 これは、何度強調しても足りないくらい、大切なことなのである。
 
「シロクマの実験」というのをご存知だろうか?
今から10分間、シロクマのことを考えないでください、と言われたら… 考えずにはおられないのだ。
 
あなたの肉体が不愉快な症状を呈している時、それについて考えないことは難しい。しかし考えれば考えるほど意識はそこに集中し、神経系はそれに反応するように痛みの回路を強くしていく。
 
この痛みの回路は脳内にある。患部にはない。
 
あなたの痛む腰は、痛くない可能性が大である。しかし、かつて痛かった時に出来た脳内の回路は、いまだに生きて活動をし続けている。「痛い」という感覚が、実のところ現実にそぐわない架空のものであり、注意深く感じてみることを練習すると、これまで痛みとしてざっくり括ってきたものが、もっと多様な感覚であることに気付く。
 
さて、腰痛の場合は「椎間板ヘルニア」という診断名をつけられることが多いが、では所見上ヘルニアの状態にある人は絶対に腰が痛むのだろうか?
 
答えは“YES”でないとおかしいはずである。
 
ヘルニアだから痛いのです、だからヘルニアを除去したら治ります、と言われ、どれだけの方がその体にメスを入れてきたことだろう。
 
ところが、所見上ヘルニアであっても、痛みがない人がこの世にはごまんといるというではないか。このことを、私は数年前の研究総会で初めて知った。このことを語ってくれたのは某県の整形外科の医師である。「手術しても治らないものがほとんどなのだ」と聞いて、心底魂消た。
 
同じようなことを、日本一心臓バイパス施術を行っているというS記念病院の医師からも聞いた。「心臓手術は成功したが、心臓病は治らない例が多数ある」という。
 
病とは何なのか、痛みとは何なのか。
 あなたが楽になっていくためには、あなたの心のなかの信念を調べてみる必要がある。
 
そしてこれまでの信念に従って必死に働いてきた神経系の働きを、ともに協力して変えていく必要がある。このために、肉体という道具が素晴らしい働きをしてくれる。
 
いくつかのルールを守って動作を行っていくことで、想像もしなかった変化を経験するだろう。
 
思うに、ヨーガという技法が4000年ともいう歴史を持っているのは、このような人の心と体の関連性について深い理解があったからだ。信じる必要はないが、試してみる価値はある。
 
私の言うことを、嘘ではないかと思っていても構わない。
しかし自分の心身の持つ不思議な力だけは、信じてみて欲しい。しばらくの間試してみても、あなたが失うものは何も無いはずだ。