蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

師匠の教え

今日は、お茶の稽古のお手伝いに上がって来ました。
三連休の初日ということもあってお稽古に上がる方も少なかったため、ゆっくりとした時間の中で先生の貴重なお話を伺うことができました。

自分の凄いところがひとつあります。これは相当に自信があります。
「師匠運が良い」
注:学校の先生ではなく、大人になってから師事をさせて頂いた方々です。

茶道のお稽古を始めたのは1999年7月。上司の勧めで表千家に入門、高橋妙泉先生の社中に加えて頂きました。どのご流儀にご縁頂くかも運命だと思っていますが、導かれて表流の茶の湯を学ぶこととなりました。
入門初日のお稽古が今日と同じような状況で、人が少ないために普段ではありえないことをたくさん体験させて頂き、先生から直々に大事なお話を伺うことができたのでした。その日は私にとって運命の日。茶道においてだけではない、ものごとへの取り組み方をすっかり改める契機を作って頂いた日となりました。

入門初日に、高橋先生から申し渡されたのは以下のことです。
何度も申し上げますが、初日です。まだお茶の飲み方もわかっていない時です。

・始めた以上、一生辞めてはならない
・稽古中は、お茶のこと以外考えてはならない
・人の稽古をよく見て学ぶべし
・感想を述べよ(先生にお手紙を差し上げ、印象を書き留める)

これは本当に凄いご教授です。
今頃になって、その真の素晴らしさが理解できるようになりました。(少しだけ)

高橋先生に直接ご指導頂けたのは僅かな年数でしたが、その後転属で鳥取に転居してから井田宗晶先生にご縁を頂き、辞めずに続けることができました。高橋先生の所へも数年に一度お茶会に参じ、交流を続けさせて頂いています。

6年ほど前に講師資格を相伝頂いた際、現在の師匠にご相談の上、ご恩ある高橋先生から一字を賜り「宗妙」という茶名を頂きました。「妙」の一字は先生のお名であると共に「老子」第1章「同じく之を玄と謂う 玄の又玄、衆妙の門なり」から「微妙で奥深いもの」という意味も込めています。

高橋先生に教えて頂いたことで他にも忘れ得ないことがあります。
身長が169センチある私に対して、
「あなたは体が大きいから、所作が雑だととりわけ乱暴に見える。心得て丁寧にものを行いなさい。」ということ、
そして、子供が生まれお稽古の継続を迷った時の、
「決して諦めないようになさい。何事も頑張っていれば必ず誰かが助けてくれます。」とのお言葉。
これらの言葉に従ったお蔭で助けられた場面が、いくつも思い浮かびます。

お茶を始めて20年が過ぎて、何も分かっていない自分をそのままに受け入れられるようになりました。淡々と時間を積むことでしか得られない智慧があります。そのことを20代のうちに教えて下さった師に本当に感謝しています。「継続は力なり」というと軽く聞こえるけれど、これは本当でした。30年を過ぎた時に、分かった風なことをこうして書いている今の自分の馬鹿さ加減を、笑い飛ばせるような時の過ごし方をしたいものです。
他のお師匠様方のことについても、いずれ改めて書かせて頂きたいと思います。