蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

No.740 季節の色

9月6日

1日家にこもってPC作業である。朝と夜にZoomミーティング。今週はけっこう孤独な感じ。まあ家にいるとJK剣士が帰ってくれば賑やかでいいんだけど。

最近、直接のYoga指導より文字を書いていることの方が多いような気がする。Yoga指導中はずっとしゃべってる(=意識化を促してる)が、教えてなければ黙っている。きっとみんなこんな感じで口数少ないのよ、きっとそうよ。

と、思いつつも今日は書き物にくたびれて、歩いて銀行まで用足しに行った。行ったはいいがキャッシュカードを出張中に別のケースに入れているのを失念していて、また戻ってまた出かけた。まあたまにはこういうのもいいよね。

帰りに、銀行の隣の今井書店錦町店へハンティングに行く。なんとのどかなことに通帳とキャッシュカードしか持っていなかったので、「へえ、面白そう」と思った本も買えなかった。この書店は雑貨屋さんが隣接していてこれがなかなか楽しい。上羽絵惣の胡粉ネイルに270周年限定色「日本の伝統色」が出たらしい。

創業260余年の上羽絵惣は、初代惣兵衛が1751年に京都で胡粉業を創業し、日本画用絵具専門店として胡粉、泥絵具、棒絵具などを現在も扱う日本最古の絵具屋さんである。五分とは白色顔料のひとつで、現在では貝殻から作られる炭酸カルシウムを主成分とする顔料を指す。まあ要するにこれを爪に塗るのである。

 

なんだか昨年から長女ぶーちーの後押しもあって、爪にも派手な色を塗るようになった。今のお気に入りはいわゆるオレンジ色なのであるが、先述の「日本の伝統色」には橙色が含まれている。これがなかなかよろしい。橙なのでジャストオレンジである。

慣れとは怖いもので、以前は「派手だなあ」と思っていた色味も常習しているとどうっちゃなくなる。今、例の感染症の影響で私はお茶や箏曲の稽古に伺うことができない(東京に行き来しているなんて汚染していて言語道断なんだよ)。なので爪が赤かろうが青かろうがナンクルナイサーなのである。

上羽絵惣の胡粉ネイルが優れていると思うのは、日本の顔料を扱う絵の具屋さんだけあって、茶を嗜む人ならバリバリに意識する季節のうつろいのようなものを「色味」で表現させてくれるところだろうか。

秋めいてきたこの季節、もう少ししたら「花菊」を使いたくなるだろうし「嵯峨鼠」もいい。もっと秋が深まってブーツでも履きたいなという時期が来たら「古代岱赭」が塗りたくなるだろう。この夏は伝統色ではない「おそら」「おみかん」というパステルカラーに楽しませてもらった。
楽しいよね。こういうのが春樹がいうところの小確幸=小さいけれど確かな幸せだよね。