蓮は泥中より発す

心身一如に生きるヨーガ教師の日記

№708 あこがれ

3回も食事したからバレてるよ 生春巻きとわたしが好きね  佐藤真由美

 

 

 

 

7月1日
帰って?来たよ、五反田に。今回は10日ほどいます。


一部の授業が対面になって毎日のようにガッコウへ通っている長女ぶーちー。五反田に宿をとっているのはぶーちーのためなんだから、ようやくこの日がやってきてうれしいよ。ということで学校帰りにハハのところへ寄ってくれたぶーちー。「乾物欲しい、オイル欲しい、海苔食べたい」というようなSOSをいつだか発していたのに何もしないままときが過ぎていたので、先日松江のVITAから発送してもらった荷物に救援物資を入れておいた。

ミカン箱サイズで発送元はCAFFE VITA。なのにコーヒーは500gとアイスコーヒーくらいで、他はコーヒーとは関係ないものばかり。そこに切り干し大根とかひじきとか味付け海苔とか、我が家で加熱調理のときに使用するプレミアム・ココナツオイル(*精製度が高くココナツ臭がしないため和食にもOKでありながら、酸化しにくい飽和脂肪酸であるという実に優秀な油脂)などを忍ばせ、今日取りにおいでーと声をかけたら早速駆けつけてくれたのだった。ほんとうは寮に帰れば夕食もあるのだが、ハハと夕食をご相伴してくれた。そして誕生日祝いに甘いもの食べようよー、といって五反田東急スクエア二階でタイヤキを買って仲良く食べた。これからレッスンだというのにタイヤキ食べちゃったよ…

昨日は誰とご一緒に?という問いにはぼんやり返事をしておいた。母さんもいろんなところにいろんなオトモダチがいるのでうまく説明ができないこともあるのよ、ほほほ。

永遠の誕生日を祝う夜は大阪の街の某所にいた。
そして森の子りすは、なななんと!

クマを食べた。

 

クマ。熊。お召し上がりになったことおありですか?
私はあるよ!鳥取県江府町という山深いところに数年間請われてレッスンに通っていた。みなさん兼業農家さん。イノシシもシカもいる。イノシシは「じゃぶ」?とかいう味噌味の鍋仕立てにすると美味しいらしい。シカはカレーがいいらしい。そしてクマは…

「ねえねえ先生、クマ、いる?」とある日訊かれた。猟友会のなんとかさんが獲ったやつで、そのなんとかさんの捌く肉は美味しいから大丈夫だし、雪の下でしばらく寝かせておいたし、みたいなハナシだった。でもね。もらう肉がみんなブロックで、凍ってる。しかもそのブロックがデカい。ぜんぶ解凍しても絶対食べれない。凍ったままだと切れない。何とか端からそぎ落してようやく調理して食べるが、たぶん調理の仕方が甚だマズいために肉は硬くて微妙。

でもちゃんと調理されたジビエは基本的に好きなワタシ。なかでもシカは大好物。あっさりしていて美味しいよね。次はカモ。イノシシはワイルドな豚って感じでいいよね。

そして昨日はクマ。ツキノワグマだったらしい。しかもこちらはちゃんとした、という表現もご無礼なくらい素晴らしいお店なので、脂肪の多いらしいクマの肉もあっさり下処理されていて、なおかつワイルドさと力強さがビンビンに伝わってくるような感じ。あんまりすごすぎてナイショにするけど、すごい出汁のスープで煮て頂きました。実に美味しかった。「元気出ますよ」と言われたけれど、どっち方面の元気なのかはあえて問わないことにした。子りすだから。

 

しかしなんですね、森の子りすなのにクマを食すという。ツキノワグマとか食べちゃったらもう森の子りすじゃなくて、JK剣士にイジメられるように「森のシロクマ」やんか!とおもって可笑しくて、お手洗いに立ったときにひとりでえへへと笑ってしまった。忘れられない誕生日になりそう。

 

 

愛するオタクとの数か月が、正式には昨日で修了を迎えた。実際にはワケあってもうすこしやりとりを続けることにしている。昨日の夜私がクマを食べて飲んだくれている間に、愛するオタクが「この数か月、ありがとう」とメッセージをくれていたので、あともう一回セッションがあるからそこまでは終わらないよと返すと、「今月からはひとりで生きなくちゃと思ってたから」などという寂しいことを言ってくる。いろいろ環境が変わって元気になったと思ったのに、ぜんぜん自立しとらんじゃないかーい!!

まあただの冗談なのはわかっているが、なかなか可愛いやつである。そして世話がやけるなあ。彼も今は人を支える立場に立っているので、その繊細さでもって優しくあたたかく人を見まもっていくのだろうと思う。ありがたいことに数か月一緒に取り組みをさせてもらったが、最後のセッションが終わればまたお茶仲間に戻る。ずっと弟分としてなかよくして、時々カレーを一緒に食べられればいいな。

 

 

さて、長女ぶーちーが通う大学の茶道部はなんと珍しいことに表流だった。表千家の茶道人口はけっこう少ないのである。なぜかを語ると恨み節になりそうだから、今度飲んだ時にサシで語りましょう。

よちよち歩きの頃から茶室の空気を当たり前に吸ってきたぶーちーは社中期待の星で、20歳で迎えるこの春にほんとうだったらお家元の短期講習(表千家の虎の穴みたいなもの)も受講させるはずだったのに、例によって例のごとく延期になった。東京でお稽古がままならなくても、学校茶道が表流なら万事OK! いざというときのために籍をおいて、茶会などの際にはしっかりご奉仕なさいと申し付けてあったために、マジメなぶーちーは茶道部の見学に行ったそうである。

が。
ぶーちーがやってきたのはとことん真剣な稽古。家ではいつもエラそうなハハも、一歩稽古場に足を踏み入れれば彼女の同輩であるから、お辞儀もするしお礼も申し上げる。二人とも、師匠からその場に相応しい振る舞いを貫くよう躾けられた。ぶーちーの所作はハハから見ても実に美しい。点前も正確である。そんな彼女がナンチャッテな稽古で満足しはしないことは誰もみな(師匠も先輩方も)わかっている。学生さんのぬるいお稽古風景を見て、気が遠くなりそうだったらしい。

でもあえてそこを堪えて経験して欲しいと思う。そして自分がこれまでどんなにしあわせな環境にいたかしみじみ感じ、授かってきた教えをもって同年代の茶人のタマゴちゃんたちの尊敬を勝ち取って欲しい。「私もあんなお点前がしたい、あんな所作を身につけたい」という、憧れの的になってくれたら素敵だなと願っている。