それは明日旅立ってゆく人のゆめ こうのとりには熱いポトフを 笹井宏之
3月19日
昨日はいくつもいい話題があって興奮してしまった。夜のリアルレッスンでもさとちゃんのことをお伝えして「あそこが痛いここが痛いというまえに毎日朝晩Asanaをやりなさーい!」とお説教をしてきたが、皆さんそんなことではビクともしない。えへへ、と笑っておられるだけである。健やかさとはこういうことだよね、ほんと。
さて、今日はめちゃめちゃくだらない話をします。いつもどおりってことですね。
本日JK剣士は修了式で、無事波乱万丈の1st JKライフをコンプリートした。
昨夏には辞めるの辞めないのと騒いで学校をサボって東京に行き、規夫師匠と一緒に駒込でパフェを食べ、1万円札を見せられて「これはただのクーポン券」と言われ目を白黒させていた。あのときはまだしげにいちゃんがいたから、一緒に渋谷やらなにやらを遊びまわってもらったことを想うと心底感慨深い。
こういう節目には迷わず萬龍軒でお祝いである。ちなみにJK剣士は今週3回目の萬龍軒。萬龍軒中毒だね。
先日のインテグラル・スナックのときに「秘儀・卓袱台返し」の話題が出た、と話してあげると「あれだな、卓袱台返しはジェームズ・ボンドだな」と切り返された。なぜだ?!なぜ卓袱台とジェームズ・ボンドが繋がるんだと苦悩していたらご丁寧な解説があった。
日々平凡に暮らす皆様にとっては、私が「秘儀・卓袱台返し」を過去二回にわたって繰り広げたエピソードだけでも魂消ておられるかもしれませんが、ホントのところ卓袱台返しというのはそんなお茶の間的な小技ではないのです。
以下、JK剣士の解説を聴いてみましょう。
「真の卓袱台返しとは、ボンドがカジノで潜入捜査を行っているとき、悪いやつらがワー!ッと入ってきてマシンガンをぶっ放して殺されそうになったところを、テーブルをガッ!とひっくり返して身を隠しつつ命からがら脱出することを言う」
少々煮物の汁が残った皿や、水の入ったコップがひっくり返ったくらいのことでは卓袱台返しなんて言えないのだ。エラそうにインテグラル・スナックという刺激的な場でそんな小技をエラそうに語って聞かせた、自分の小物感に大いに恥じ入ってしまう。インテグラル・スナックのママ(見習い)ならば、もっとダイナミクスを求めて生きていかねば!
ということで、JK剣士は海外に飛んでしまうことになった。
流浪する母がようやく懇談の席に着いたとき、今年の成績表の「担任のコメント欄」には「目が世界に向いている。そのため世界史や外国語の学習に意欲的に取り組めた。」とあった。担任の先生はさ、ほら「才能がないやつが努力してもムダなんだ云々」ということを言っちゃった人だから、母はここで門脇師匠の御達し通り「先生は努力したことがなかとやろーが!?(*長崎弁)」と文句言ったらんばと思い詰めていたのだが、JK剣士はそこをひょいと跳び越えて「渡米します」と言った。
LAにいるマスターマリコが私に「こっちにおいでよ」と言ってくれて、JK剣士も一緒に連れてきて置いていっていいよと言った。そのことを伝えた日、彼女は何も手につかなかった。しばらくのあいだ大混乱になっていたが、私が出張から帰る日「行ってみることにした」とLINEがきた。行って、違う世界を見て、そこでインハイをめざすのかどうか改めて考えてみたいと。幸いなことにと言っていいのかわからないが、いま彼女のチームでは女子が5名揃わないので団体戦での勝ちは狙えない。だから先輩のAちゃんも「行ってこい」と言ってくれたって。
規夫師匠が仰るように、インハイ自体には意味はないと私も思う。でもJK剣士がインハイに彼女だけの意味を与えることはできる。なにかに意味を見出したときの強さや鮮やかさを、様々なひとに見せられてきたし、母として子供にそれを期待しちゃうのは罪じゃなかろうと思う。
いつも生徒さんに、毎朝起きたとき「ゼッタイにありえないと思うことについて3つ妄想しろ」と申し上げている。私は縛られて生きたくはないし、誰にもそうあって欲しい。人生で起きることは私の顕在意識が想像しうることを軽々と超えていていつも驚かされる。「え!すごーい」と思えるようなものですらなく、斜め後ろから後頭部を直撃するような感じで物事は起こり「嘘やろ?!」と驚かされる。そうすると思わず前方に数歩よろめいてしまい体勢は大いに崩れるが、なんとかコケることもなく必要な間をおいてまたじきに適度な歩幅で歩きだせるようになる。
先日夢のような1日を経験したのだが、こんなことは想像すらできなかった。こんな世界がこの世にあるんだなという心持ちだった。だから小さな枠組みで自分の未来が展開するなどと考えず、いまこの一瞬に思考停止で生きていられればいいと思う。
この一瞬の思考停止、これをマインドフルネスという。
と思ってるんだけどな。