ふたりだと職務質問されないね危険なつがいかもしれないのに 雪舟えま
2月9日
朝から四谷へ向かう。2か月ぶりのリアルセッションは、会場の手配の都合でデニーズになった。ほら、これも絶対者の思し召し？だから。そこで今日は人間五蔵説の話をさせてもらった。まじめでしょ？私は存外マジメな人なのである。
ところがここ1,2年、このマジメさからかなり逸脱して生きてる。
「こんなんでいいのかぁ?!」と我ながら思うことがあるのだが、つい数日前、上京を前にした長女とコーヒーを飲みながら話しているとき「ほんっと大変だったわ」と吐き捨てられてしまったのだ。なんと以前の私は、キチンとし過ぎていたが故に迷惑至極であったという…。
キチンとしてる、の「キチン」の基準が軍隊ベース？しかも無意識に。
先日「セント・オブ・ア・ウーマン」という映画をある方に勧められて見たのだが、この映画の面白いツボを「軍隊あるある」として見てしまった私。階級は（元）中佐なのに大佐って呼ばせるとか、辞めても（軍隊以外の場面でも）階級がしみついて取れないとか、やたらエラそうとか。あとね、目の見える姪の家のなかよりも、元中佐の家のなかの方がキチンとしてるのは盲人であることも示しながら、元軍人感も出したいんだと推察した。
ニューヨークのホテルで銃の分解結合をするシーン。目が見える人たちが目隠しをしてそれをする世界を知っているから、「うーん、眼が見えないお蔭でずっと上手にできるんだろうなあ！」と感心しきり。
軍隊的「キチンとしてる」の象徴的行為にこの「銃の分解結合」があると思う。私は小銃しか扱ったことがないけれど、これは割合大きくて部品が多い。これを順番に「キチンと」並べていかないと、小さい部品が見えなくなったりするんだよね。ああ、想像しただけで怖い…。
“ピストン桿用ばねピン”というめちゃくちゃ小さい部品があって、もうこれがトラウマ部品。「あおざくら」という防大マンガがあるのだが、そのなかでこのばねピンがなくなっちゃうというエピソードがあって、読んでるだけで胸が痛くなって涙が滲みそうだった。なにかがなくなったらすべての作業を止めて「出てくるまで探す」というミッションが課される組織だから。あー、ほんとに辞めてよかった。心臓に悪いよ。向いてないよね。
で、「キチンとしてる」せいで迷惑だったと。娘から。面と向かってよ？なんだかしょんぼりするような…。でも、今のこの在りようはアリなんだ！これでいいのかも、いや、これでいいのだぁ！という晴々した気持ちになったことも確か。
いつもブログで私の安否確認をしているという長女が都内の人になったので、今日はその住まいを見に行ってきた。楚々？として寮長さん、寮母さんに「母でございます…」とご挨拶してきた。私だってやればできる。
寮で集団生活をすると「キチンと」が重要になるので、彼女もかつての母の気持ちがわかることもあるかもしれない。ちょっと楽しみ。でもすごくキチンとした人になっちゃって、今よりもっと叱られたらどうしよう。
映画の話に戻る。素晴らしい映画なのでご覧になった方も多いと思うが、ブラインドの方は視覚に使用されるリソースを他の４感に回しているので、とにかく感覚が鋭い。なんといっても人間は視覚に8割頼っていると言われるくらいなのだから、他の感覚が倍増してるくらいすごいんだと思う。
筝曲文化にどっぷりつかっているせいで、視覚を喪った方に対するリスペクトがハンパない私。映画でもアル・パチーノが女性の香りをもとにどんな人かを言い当てるというシーンが複数あるが、あれがとってもシビれた。だから映画を観終わって「絶対香水買う」と思った。
「鼻は脳の入り口」と言われ、Yogaを行じる人やアーユルヴェーダをやってるひとは鼻をとても大事にする。鼻の穴や、その奥の副鼻腔、そして「匂い」。変なにおいを嗅がない（化学成分たっぷりのものを使用しない）、香などの繊細なよい薫りを嗅ぐ（きく）。瞑想時に香を炊くこともあるけれど、成分にもこだわってお香を入手している。
Pittaという体質の人は、白檀（サンダルウッド）の香りを嗅ぐことが治療になるとも言われた。香りは想像以上に大事で、脳に直結しているから、もっと慎重になってせっかくのこの感覚を育てて欲しい。
で、今日、長女と一緒に池袋でショッピングして、香水買っちゃったよ。素材とかよくわかんないけど、香りを嗅いでビッ！ときたから大丈夫。
今週末に秘密の場所での収録があるので、そこにつけて行っちゃおうっと。でもさ、誰にも何にも言われなかったら哀しいよね。田端の空に向かって「あなたたちみんな、鼻が詰まってるんじゃないの？！」と叫んでしまいそうだよね。たぶんO先生だけはこれを読んで「かよちゃん、香水素敵だね！女子力上がったね！」って言ってくれそうな気がする。信じてる。
