蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№386 避難場所を探す

「万処偏在なるお方は、誰の罪も功徳も受け取らないのだ。だが人の内なる智慧は無智さによって覆われており、そのために人は混乱しているのだ」 バガヴァットギーターⅤ-15

さっきまで何を考えていましたか?

途方もない哀しみと悼み、被害者意識、苦悩、罪悪感、斬鬼の念、絶望、怒り、憎しみ、フラストレーション、恨み、ショック、恐れ、不安、弱気、打ちのめされた感覚、苦悶、無力感、孤立、孤独、不信、裏切り。

このような思いがしばしば思考に登場してなかなか去ってくれない、という状況で生活している人がとても多い。

我が家の女子高生は、今そのような思いの真っただ中にある。
学校生活は実に大変だ。
潮の満ち引きのように、あるときは将来への希望を語り、同じ口で自分ひとりが地獄の底にいるような心もちであることを嘆く。
思春期のホルモンの影響もあろうから、自分の意思だけでは何ともならないこともこの状況に火を注いでいるようだ。

普段お目にかかっている方々は何といっても大人なので、より深い絶望を経験し、そのためなら何かを犠牲にしても良い、という思いでヨーガに向かって下さる。
そのことが恩寵のように思えるくらい若者の心の乱高下は激しく過酷で、これが若さっていうことだな!と感動を覚える。
若いからこそ許される生を満喫して欲しい。

さて、生き生きした若者のことはそっとしておいて自分たちのことを考えよう。

雑念が浮かぶということを、そのままにしておかないで欲しい。
雑念が浮かんでいることを自覚できないくらい心が外を向いているなら、それを内向きに修正して欲しい。

ストレスの中で生きるということは、サバイバルモードで生きるということ。
短期間ならすべての組織は持ちこたえられる。
しかしストレス状態が数時間で終わらない場合、身体は調和した状態に戻らなくなる。
自然界のどんないきものも、緊急事態の中で長期間生き延びることができない。

大きな脳のおかげで、人類はあれこれ考える力を持っている。
自分の抱える問題について考え、過去の出来事を脳内で再現し、未来に起こり得る最悪のシナリオを想像する。

ただ考えるだけでストレス性の化学物質を滝のように放出するスイッチをオンにしている。
この化学物質の分泌を感情と呼ぶ
一度そのような回路ができあがると、その神経回路の中で思考を巡らせ、その時分泌される化学物質がつくる感情の範囲内で感情を味わう。
そうして存在のすべてが、過去にすっかり捉われた状態になる

この状態にあるとき、自律神経は乱れまくっている。
環境が遺伝子に「病気になれ」というサインを送っている。

こんな状態になってしまったら、まず何をしたらいいだろう?

リラックスがいい。
脱力を通じて、よい意味での思考停止に陥ってみよう。
じっとしているとますます思考が巡るので、人がかけてくれるインストラクションに身を委ねよう。

もうひとつ。
思考の奴隷から生還した人に話を聴いてもらおう。
何年も指導を続けている先生はそういう方が多い。

呼吸が、姿勢が、というのはその後のことである。
まずはホッと息の付ける避難場所を見つけること。
その避難場所の住人は、ああせい、こうせい、と面倒くさい指示を出してこないものだから、決まりごとが多いところは避難場所じゃない。その点をわかった上で探して欲しい。

避難所は、探せば必ず見つかる。
安心してください。