蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№333 免疫力を上げたい

「疫」という字は、悪性の流行病を意味するそうだ。
免疫力とは文字通り「疫を免れる力」、からだを守る防衛機能。

免疫システムは、基本的に2つの仕組みから成り立つ。
1つ目が「自然免疫」、2つ目が「獲得免疫」。
後者は高度な生命体のみに備わったシステムで、特定の病気に対して抗体を持つのもこのシステムのお蔭である。

数日前、長女がお世話になる予定の学生寮からお便りが届いた。
東京の現状と、若い人が感染症に罹患した場合の症状について説明があり、寮母さんたちは医療従事者ではないので、罹患したとしても十分にお世話ができないかもしれないということや、寮内で療養中に病状が悪化しても救急車もすぐに来てくれないかもしれないということが書いてあった。前期はすべてオンライン授業になったので、当分の間入寮の予定はないのだが、現在の寮の置かれている状況の厳しさがひしひしと伝わってくるお便りだった。

そして、そのお便りに「最後はひとりひとりの免疫しかない」という旨があったのだが、これまたマスク二枚と同じような“竹やり”感を感じて、私は腰が抜けそうになった… 
だって皆さん。 免疫力の上げ方とかご存知ですか?! 

ヨーガ教師として、身体的な面から生徒さんにアプローチする際に、お一人お一人の免疫力を上げることができるようにと必死に考えてきたが、それは決して単純な話では無いと思っている。

様々な角度からあらゆる手を打つ。しかし一つひとつは実に地味な取り組みであり、「役にたってる!」というリアルで劇的な感動はないものを、諦めずに淡々と積み上げていってようやく上がるもの、それが免疫力であると思っている。

簡単に免疫力が上がるんなら、誰も悩まないんだぞ!

自分自身もかつて原因不明の体調不良で苦しみ、検査ではなにごとも無いため精神的な問題とされ、しかしその苦痛から逃れ出る術は教えられず、溺れる中で藁にも縋るつもりで手を出したのがヨーガだったわけで、「いったいどうしたらほんとうに楽になれるのか」を考え抜いてようやく今ここに辿り着いた、という感覚なのだ。
だから、単に体操をするという側面からヨーガを見られると大変悔しい。

今、この場面において、多くの人にとって免疫を活性させる特効薬があるとすれば、「先々の不安を減らす」ことに尽きる。

ヨーガ教師としては個々の方の真の健康に向き合いつつ、私たちが生きる場であるこの国というものの舵取りにも真っ当な怒りを向けていきたい。
その悩みは、実は個人的なものではない可能性があるからだ。

とは言え、黙って弱るのは悔しい。個人としても最大限抵抗したい。
免疫力を上げるために最も大事なこと、それは「クヨクヨ考えない」ということ。

その為に瞑想(マインドフルネス)は役に立つだろう。
しかし、ただ座るだけで思考が鎮まるわけではないので、呼吸を整えると良い。

呼吸を整えるには、身体を調えるのが手っ取り早い。
全身を動かしつつ、呼吸を調え、心を調え、雑念が浮かびにくい状態を作っていく。

呼吸を整えるための動きにはちょっとしたコツがある。
仰向けになって練習するとやりやすい。手をお腹に添えて、呼吸と共にお腹を動かしてみて欲しい。細かい着意はたくさんあるが、まずはこれでかなり差が出る。

最後にもう一つ。
皆さん無意識に息を止めていることがあるので、吐くときにハミングしてみて下さい。
そのまま「ブラーマリー」という調気法になります。