蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№260 ギフン!

神戸&大阪出張の前まで、津田敏秀「医学者は公害事件で何をしてきたのか」という本を読んでいた。

実は水俣病は、ある時まではチッソの垂れ流していた有機水銀が原因だったが、ある時点からは国と学者が原因であった、ということの根拠を読み進めていくうちに、とても虚しく苦しい気分になってしまい、現在、一時停止中である。

出張中は、「美智子さまご出産秘話」というものを読んだ。これはなかなか心温まる本だったがすぐに読み終えてしまったため、積読の中から選んだのはロバート・J・リフトンの「精神史的考察 ヒロシマを生き抜く(上)」。

何しろ、最近の積読の中には小説などがないから…。

何か読み応えのある小説などで中和しながらでないと、この2冊の本を読みぬけない気がする。「ハワーズ・エンド」を再読するか、ウィリアム・トレヴァーの本を新しく入手するか。

しかし「医学者…」を書いた津田さんの”義憤”は力強い。
私は難しいことはさっぱりわからないが、これは以前「啓蒙の弁証法」と格闘していた時に感じた感覚と同じような気がする。

この本は私には大変難しかったので、読んだとはとても言えないのだが(最後まで挫けずに目を通した!というのが正しい)、「この人たちは何かに猛烈に怒っている…」ということはわかった。そしてこの人たちが怒ってきたことに対して、私も別の角度から興味を持ち続けてきたことだけは救いかもしれない。

津田さんの方は幸いなことに「何に怒っているか」がはっきりわかる。
わかるから辛い。こんな国に生きているんだな、ということについて、知らんぷりはできない。では私に何ができるだろうか、私の力の及ぶ範囲で。

今、ゆっくりと進行中のプロジェクトのメンバーも、”義憤”を感じている。

『国民と患者にフォーカスすると言うのが、私の視点であり、業界は放置する。
大きな枠組みを考えながら、具体化する。
一歩一歩行動していけば必ず報われます。大丈夫!!』

これが我がチームリーダーの力強い言葉。
それぞれの専門性を活かして、関わる領域で少しでも違う世界を見たい。
見るぞ!