蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№155 発達段階考

成人発達理論を学び始めて4年ほどになるかと思う。
初めてゼミナールに参加した頃は、変な自意識が強く苦しい思いをしたものだが、今はそのような感覚はない。

自分の意見を求められて堪らない気持ちになることも多々あったが、それも克服したなあと感慨深い。
私の意見に肯んじえない方も多々あると思うし、そこから大いなる誤解につながっていくこともあるかもしれないのだが、それでもなお、自分が今この様な思いを抱いて、今できる限りにおいて表現することに対して「なんか文句あるか?!」と世界に挑むような気持ち。

いつかはもっと自然に表現をし、今の私に理解し得ない人をも豊かに受け容れられるようになりたいと願う。


この夏に約10年ぶりに働きに出てみて、生徒さんや友人にはビックリされたのだが、ひと夏の得難い体験となった。
結果から言うと、昨日クビになってしまったのだ! 僅か44日の生存期間。

ヨーガを主とするダブルワークであり、自分のライフスタイルをまったく変える気のないことに対する意思疎通が上手くいっていなかったこともあるし、何より私という人間が期待外れだったのだろう。

ちょうど、ゼミナールで改めてインテグラル理論について学び直しをしている時期と重なったこともあり、この度の経験で多くの気付きを得ることができた。

最も大きな成果は、ヨーガを求めて来て下さる方の発達段階は総じて高いのだと、理解できたことであった。
生きにくさは、ご自身が生きる世界の発達段階との微妙なズレにより生じているのかもしれない。私自身のかつてを振り返ってもそうであるし、この度の経験のキモもそこにあると感じている。


以下の文章で用いる色の名称は、人の発達段階を表すものである。
甚だ簡単であるが、ウィルバー著「インテグラル理論」から解説してみる。

レッド:部族集団と区別された「自己」が初めて出現する。征服すること、相手を出し抜くこと、支配することを好む。「今ここ」を生きるが近視眼的。

ブルー:人生には意味があり、目的があり、方向性がある。どんな結果がもたらされるかは、絶対的存在ないし絶対的秩序によって決められている。

オレンジ:自己はブルー段階の「群集心理」から脱出し、個人として心理や意味を探し求めるようになる。

グリーン:自己は開かれており、関係性に基づいている。他者と対話すること、関わり合うことを重視する。世界に調和をもたらし人間の潜在的可能性を拡張する。

第2層:内面的発達のスペクトラム全体を明確に理解するようになる。スパイラル全体が健全であるためには、どの段階の存在も極めて重要であるということを認識するようになる。


オレンジだと思って共感したビジョンは何だったのか。
ブルーの秩序に添わないから異端児だったから、排除されたのだろうな。
レッドの世界観の中で生きている方たちにとっては、新参者は排除すべき「敵」だったに違いない。
周囲の人たちが違う視点で世界を理解しているということを、私はなぜすぐに理解できなかったのか。
グリーンの病理の真只中で、この1年もがいてきたことの結果がこの体験なのか。

では、ここで出会った方々それぞれにとっての健全さとは、どのようなものなのか。
私はこれから、学んで来た理論をどのように活用しながら、この理論という地図を手に、実際の人にどのように寄り添っていくのだろうか。

それよりなにより、理論に雁字搦めになって、いつまでも意思決定を行えないという病からまず回復しないとね!