蓮は泥中より発す

心身一如に生きるヨーガ教師の日記

№123 鍼灸のススメ

今日は鍼灸治療の日だった。

自宅の近くにお住いの、女性の鍼灸師の先生にお世話になって、もう7年になる。
ご主人と我が家の家人が仕事上のお付き合いがあり、たまたまお近くに私たちが引っ越してきたことから、奥様が鍼灸治療に携わっておられることをお聴きしたという不思議なご縁だった。探したわけでもなく出会い、気持ちのよいお付き合いを続けさせて頂いている。

当時は仕事が軌道に乗ってきた頃でもあり、気を遣うレッスンのオファーを受けた時期でもある。1日のレッスンを終えて帰宅して夕食を食べたのちに、お腹が痛くなるのだった。

ガス腹になり、のた打ち回るほど痛いが、数時間すると自然に収まる。痛い時は本当に痛い。腰の裏のある部分を押してもらうと、少し楽になる。

ほとほと困っていたところ、この先生との出会いがあった。
初めての治療のことが今でも忘れられない。

治療の初めに脈診をなさる。アーユルヴェーダでも、脈診ができるようになるには最低10年かかると聞いていたので、まずそのことに感動した。これまで出会った鍼灸師さんは脈診はなさらなかったのだ。

治療が始まると、いくつかのポイント(ツボですね)が強烈に痛い。
しかも、痛みは針が刺された後から、ずっと奥の方からずぅんと響くように来る。
思わず「痛いです」と申し上げると、「表面が痛いですか?奥が痛いですか?」と尋ねられるので、奥が痛いとお伝えしたところ、今も忘れぬ名言を発されたのだった。
私は人に鍼灸をお勧めするとき、必ずこのお話をご披露することにしている。
とにかく衝撃的だったのだ。

「表面が痛い時は私が悪い(治療上のミス)ですが、奥が痛い時はあなたが悪いのです」

「あなたが悪い」という衝撃フレーズは、過去にも集中内観修行・山場3日目夜に、面接官のH先生に言われていたことがあるため、心身に深く突き刺さった。

痛みは私の中心からくる!
この場合は単に肉体の痛みでしょ、などということは、ヨーギーニとして口が裂けても言えない。肉体と精神は分かち難く結びついているから、この痛みを作ったのは私の思考であると考える。では、なぜこうも痛むのだろう。そこを考え抜かなければと思った。

さて、治療後、先生のお見立てを伺ったところ「脾が虚している」とのことであったので、念のため、知人に相談して通院し、大学病院で色々な検査をしてもらったものの結果は見事に白。どこも悪くありませんと言われた。

次回の治療時にその旨お話すると、「それはそうだろうねぇ」というご反応。内心ずっこけたが、その時改めて『未病』というものの孕む恐ろしさと、西洋医学の検査技術の限界をひしひしと感じた。

それ以来、昨年夏に3カ月ほどサボった以外は、基本的に先生のご指示通りに通い続けている。
歯医者さんに虫歯の治療に行って、「次はいつ来なさい」と言われて行かない人はあまりいないんじゃないかと思う。鍼灸治療も基本的には同じだと思う。病気の根を絶つためだから。
なので、新しく鍼灸治療に通われる方は、先生のお見立てに素直に従って欲しい。

問題の腹痛は約1年でさっぱり消えた。3年ほど経つと、子供の頃から悩んできて、手術まで考えたこともある慢性的な症状が消えた。
鍼灸の治療と、ヨーガで培った自己の心身に対する感覚が掛け合わさって、今日の治療で痛いと感じるところと、前回の治療から今日までの自分の生活や思いとの関連性がより明確になることで、ライフスタイルや食生活の工夫がしやすくなった。

先生は非常に勉強熱心な方なので、その点でも大いに刺激を受けることができ、とても有難い。

鍼灸も、ヨーガと同じく、「健康な人がその状態を維持するためのもの」なのではないかと思っている。生きている限り、状態には波があるということ、思考というものの怖いほどの力、そういったことを身体を通じて教えてくれる。あゝ、日本人で良かった。

注:中国の鍼と日本の鍼は違います!