蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№114 ヨーガで健康になれる?

これは昨日分として。
昨夜は新しい出会いに盛り上がり、夜半過ぎまで盛り上がってしまった。

さて、昨日は神戸・御影公会堂でのレッスンだった。
月に一度しかお会いしない形のレッスンなので、体操実技だけではなく、しっかりとお話を伺い、こちらからも今お伝えしておきたいことについてあれこれとお話申し上げる。数か月体操のセッションを重ねて、目指すものを共有頂けたと感じたところだったので、皆様が一般的に想像する体操のクラスでのご指導が私の本業ではないことをお伝えし、瞑想講座についてご説明させて頂いた。

ヨーガ教室には、八割方持病や症状をお持ちの方がおいでになる。
2012年に九州大学とヨーガ療法学会が協力して得られたデータだ。ほとんどの方が「ヨーガがしたくて」教室に来られるわけではないということ。今よりお楽になりたいから、ヨーガならできそうだから、ヨーガは効きそうだから、おいでになるのだ。

実際、全くの健康体の方など、若い人にだってほとんどおいでにならない。最近セッションをした方々も、パニック症状、不安、不眠(睡眠薬常用)、循環器疾患、関節痛などに悩んでおられ、ヨーガに出会うまでは改善を諦めておられる方もおいでになった。いったいどうしたらいいのか分からないので、一時的に、慢性的な症状を緩和させてくれる薬剤に頼る以外の選択肢がないのだ。お医者様は悪くない。ご専門を通じて十分に貢献下さっている。クライエントの側が、自分自身についてあまりにも知らなすぎるので、どのように助けを求めていいかも分からなくなっておられる方が多いのだ。

ヨーガやアーユルヴェーダでは、病はすべて心と身体の相関によって起こると考えている。いわゆる心身症と呼ばれる範疇に、すべての疾患が入ると考えている訳だ。
心身症の方は、自分の肉体の感覚が感じられなくなっている(失体感)。自分が何を思い、本当はどうしたいのかを理解し、語ることができない(失言語)。意識が外側に向いていて、自分以外の事象に向き合うので必死だ(過剰適応)。


指導に当たるヨーガ教師の側が、これらの疾患に対する基礎的な知識と、「なぜ、どのようにヨーガを用いれば、クライエントさんの苦痛を緩和することができるか」その作用機序について熟知している必要がある。たまたまヨガやって何となく良くなるわけではなく、良くなるように指導するのがプロの技だ。ニーズに応じきれていない教師の質を、専門家側は真摯に受け止め、業界全体のスキルの底上げに力を尽くさねばならない。

特に注意を要するのが、過剰なリラックスによる副交感神経優位の有害事象(教室での事故)で、ヨーガ教室2大危険行為を挙げるとしたら、「繰り返されるストレッチと過度のリラックス」ではないかと思う。
ストレッチを繰り返しているために、長年ヨガをしているという方でも腰痛などの持病をお持ちの方も多いし、過度のリラックス導入は糖尿病、高血圧で服薬治療中の方、喘息等の既往をお持ちの方には禁忌だ。

長くなったので今日はこの辺で止めておくが、ヨーガで健康になれる訳でなく、健康に役立つように使うからヨーガで良くなる人がいるだけ。
ものは使いよう。何事もそうであるように。