蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№113 美味しいもの、繋がる

月1のレッスンのため、本日神戸入りした。
先月初めて泊ったお宿が素晴らしく、定宿に決定した。
三宮から徒歩5分の二宮にある。一階には「そば焼き」(神戸では「焼きそば」のことをこう呼ぶそうな)のお店があり、ウェルカムドリンクとして1杯サービスして下さる。

先月お世話になったときにも1杯頂戴した。
その際に、マスターが日本酒好きだということを伺ったので、友人の蔵元・木次酒造さんをご紹介したのだったが、今日はその蔵のお酒「美波太平洋」が待っていた。訪れたところで親しい人にばったり出会ったような気持ち。

HPを開いた時に現れるひげモジャの方が蔵元さんだ。春になり、蔵から出て来られて、残念ながら今はもうモジャモジャしていない。
http://www.kisukisyuzou.com/


「いいよ~」とお伝えして、実際に行動に移して下さる方がたくさんお出でになる。
この度の件も、私が宿泊しているからという義理ではないものをオーナーさんに感じた。ほろ酔い気分で友人自慢をしただけなのだが、実際にコンタクトを取ってくださって、友人も手厚く接して下さり、そのお蔭で、私が今日こうしてここ二宮で、そば焼きを肴に山陰の日本酒を頂くことができた。御酒を頂いている間、私の傍に木次酒造さんの一升瓶がどーんと鎮座ましましていた。

幸いなことに、日本のあちこちに大切な友人がいるけれども、そのご縁の不思議さは計り知れないと思う。人と人の繋がりは図らずも生じ、努力しても消えてゆくものもある。
 
俵万智が編んだ歌集に、稲葉京子さんの下記の歌が納められている。

「やがて死が堰き隔てむに忘失の刻(とき)あり人は生きて別るる」

必ず別れる日が来るのに、その日を待たずに別れてしまう人と人。生きて別れずとも、死で分かたれることもある。今この一瞬に、手を伸ばせば(物理的にも、メールや電話などの媒体であろうと)繋がれる人との関係性を大事にして、歳を重ねていきたいものだ。

今日は特に、実際に会ったことがない二人が、お酒とその味を通じて繋がっている豊かさに深い感慨を覚えた。実際に出会われた時にも、初めて会った気はしないのではないかな。

 

あなたと読む恋の歌百首 (文春文庫)

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