蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

№109 遠鳴り

子供の日だという。
我が家の子供は和歌山県まで遠征に出かけており、今晩帰る。2回目の和歌山。逞しく育っている。

午前中は家事と勉強、そして図書館へ。
小川未明の本が読みたかったが、県内に無いようだ。文庫だからか。これは買うしかないかな。
一度読みたいと思っていたジョナサン・リテル「慈しみの女神たち」を見つけたので、上巻を借りて帰る。 重い内容の本なので、しっかり腰を据えて読みたい。

小川未明集 幽霊船―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

小川未明集 幽霊船―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

 

 

午後からは、6月の演奏会のための合奏に出かけてきた。
尺八の先生に来て頂いての合奏は今回が初めて。初めの1,2回は息が合わない。気になるところを繰り返して調整していく。ちなみに、この曲を1曲演奏すると13分ほどかかる。1,2回と言ってもなかなかの所要時間だ。

合奏は師匠のご自宅で行うのだが、本日弾かせて頂いた箏はとても響きがよく、驚く。小休憩の際、師匠から弾きやすいか否かのお尋ねがあったが、あまりにも鳴りが良く、自分の楽器とは違うため、弾きにくく感じると申し上げた。

実はこの箏は、師匠が職格試験に合格されたお祝いに、ご両親が誂えて下さったものと伺う。初代菊井松音先生が、丸太からお選びくださったものを、くり抜いて仕立てた逸品だそうだ。初代の松音先生はお目が不自由でらしたので、木を叩くだけで、その木がお箏になってどれほど歌ってくれるかがお分かりになったのだろう。今となっては箏の素材も外材が多く、国産木で丸太から仕立てればどれほどの価格になるものだろうか。想像するだけで恐ろしい。

昨夜、同じく筝曲を学ぶ娘と演奏会のDVDを見ていた時も、三絃の音について考えていたのだった。
この時使用した三絃は我が家にある演奏会用のものだったが、二代松音先生から「大変音が良い」とお褒め頂き、「師匠から楽器を借りたのですか」とのお尋ねがあった。師匠の演奏会用の三絃は「金細」と言われるもの。これは、三絃の素材となる紅木の品質の優れたもののことを言う。我が家のものはもちろん金細ではないが、お褒めにあずかり光栄だった。この演奏会用の三絃は中古で求めた。良い出物と出会い、ご宗家にお声掛けまで頂いたことに感謝。
中古と言えど勝手に購入したりはしないので、そこは誤解しないで欲しい。楽器屋さんから師匠にご連絡があったものを、この機会に手に入れておきなさいとのお声掛けで入手に至ったもの。

鳴りのいい箏での合奏は、ミスまで遠くに鳴り響くようで大変なプレッシャーだったが、箏に相応しい演奏を自分なりにやろうと心に決めて弾いた。

あと三回の合奏で、当日を迎える。今回は尺八の先生が主宰の演奏会だが、ピアノの調律を本職とされる厳しい先生が代表を勤められる会であるし、恥ずかしくない演奏をしたい。