蓮は泥中より発す

अद्वैत :非二元に還るプロセスの記録

呼び出し

今朝、筝曲のお師匠様からお電話を頂き、急遽お呼び出しを受けてお稽古に上がってきました。
朝の4時にふと目覚められてから、私の稽古不足のことが懸念され、いてもたってもいられなくなったと仰っておられました。ご心配をお掛けし通しの不肖の弟子です。

本日は「末の契」のお稽古でした。
江戸中期の筝曲家・松浦検校の作による、荒磯の蜑小舟(あまおぶね)に切ない恋心を例え、末永い契りを願う曲です。

本日は、先生の三弦と私の箏で合奏の練習でしたが、掛け合いがうまくいかず脂汗が出ました。
先生がご一緒に箏(もしくは三弦)を弾いて下さる時は、調子よく弾けるのですが、自分のパートをソロで受け持つような形で行う今日のような稽古の際には、突然はしごを外されたような気分になり、普段できていることが急にできなくなります。このような時改めて、普段いつもご一緒に同じことをしてくださる事が、新しい技量を身に付ける上での足場架けになっていることに思い至ります。

例え稽古の場であっても、一対一で一つの曲を演奏するというのは緊張を覚えます。
その曲に対する敬意といいますか、この機会を蔑ろにはできないという気にさせられるのです。一つひとつの曲を修めるのに何年もかけて、きちんと向き合っていく姿勢を教えられたことはとても有難いことでした。
一生をかけても、できないこと分からないことだらけで肉体の死を迎えるのでしょうが、目覚めた時から弟子のことを思って下さる師に巡り合えたことが、私にとってのこの上ない幸せであることは間違いありません。

明日も午後から呼び出しを受けています。
明日は何の曲のお稽古かな…