蓮は泥中より発す

心身一如に生きるヨーガ教師の日記

No.714 せめて口惜しいと

顔をあらふときに気づきぬ吾のなかに無数の銀河散らばることを   筒井宏之

 

 

 

7月8日

PCが新しくなったので、これまで面倒でやっていなかったファイルの整理をしてみた。

最後は案の定写真を見たりしてなんの仕事にもならないのだが、子供たちが小学生の時に上京した折のスナップなどを見て「おお!」とか「へえ」とか一人で騒いでいた。

そしてまた、JK剣士がまだJKじゃなかった時の公式戦の動画を見てしまった。
ジュラシックパークに登場する生き物のように気勢が漲っている雄叫びを聴くと、私はいつもぐっと胸が詰まって涙が出そうになる。

今年の11月に新人戦があるそうなので、それがたぶんJKとして最初で最後の公式戦になるんだろうな。JK剣士としての勇姿を見たかったな。どんなにボヤいても詮ないことではあるけれども、7歳からの弛みない彼女の取り組みに、本当だったらあるはずだった花道が与えられなかったのは口惜しい。そしてこんなことに「悔しい~」と言ってやれるのも母だけだと思うので、盛大文句言ったろうと思う。

 

7月9日

今朝ホテルのまわりをふらふら歩いてみた。1階レストランの周辺などには緑がいっぱいで、何が植えてあるんだろうと観察してみた。正直言ってこういうところに植えられている西洋風の木のことはよくわからないのだが、流儀花のお稽古を始めた頃なんて植栽どころか花の名前もわからないし興味もないし、それで茶室でお花を拝見して「うーん」と唸っていたことを思うと興味を持てるだけでも進化したなと我ながら感心した。

その時実は人を待っていたのだが、すずめが二羽で遊ぶ様子を眺めたり木を観察したりしている間にどうやら虫に刺されたようである。先程入浴しようとして気づいたのだが、顔も含めて5箇所も刺されている。いい大人のくせに甚だ恥ずかしい。都会の虫は山陰の虫と違って自己主張をしないらしい。山陰の蚊は「ここにきたぞ、刺すぞ刺すぞ」と音で知らせてくれるので非常に紳士的で親切であることがわかった。

 

 

ふだんあまり私と接触がない人は、私のバーン!とした強い性質をご覧になって、それに対していろんなことを思っておられるようだ。今日は長女とランチをしたのだが、この娘は三つの稽古ごとでの姉妹弟子でもあるので、同じ師匠の薫陶を受けた者として繊細な話題を共有できるように思う。茶や花に向き合うシーンでは最大限の繊細さを発揮して生きていると思うし、もうこのとりくみも長いのでそれは生活に浸透していて付け焼き刃ではない稽古をしていると思っている。そうでなければ稽古場で普段の生活が透けて見えて恥ずかしいから。稽古は稽古場だけでするものでないことくらい流石にもうわかっている。そういうライフスタイルが私の調和をもたらしてくれていると思った。

いよいよ茶でもお教えしたい気分である。そうか、こいつはこんな側面があるのかと、びっくりする人があるかも知れない。

 

No.713 皆、良かれかし

幾千もの星のひかりに切られゐし冷たき頬へシーツをあてる   筒井宏之

 

 

 

7月8日 

年に一度恋人同士が邂逅するという夜、曇っていて星は見えなかった。
長女のために七夕に因んだ可愛らしいパッケージの菓子を買ったので、遅ればせながら渡さなければ。

 

 

山陰では大変な雨とのことで、何人もの方からご心配頂きありがたかった。
JK剣士は警報発令のため休校となり、強い雨の音で朝早く目を覚ましたと言いつつも元気にしていた。我が家の猫たちは外に出たそうな顔をしつつも、窓を開けてやると雨に慄いてその場に蹲るという。

 

 

 

一連の変化が私には訪れていて、私のことを気遣ってくれる方々からいくつかの助言をもらった。
このBlogは規夫師匠に強く勧められ、洋平先生に背を押されて始めたのだが、この取り組みは一定の変化を私にもたらし、同時に少し厄介な事態にもなっているのだった。

ここで私は意図的に美しく形造った世界(=森のヒグマ的世界)をお見せしていて、それは本当の私とは違う。このことをわかった上で面白がってくれる粋な人もいるかと思えば、虚構を真にうけている方も現れてきて困惑している。どんなふうに読んでもらっても結構なのだが、遠くから響いてくる木霊を聴くたびに徒労感が増す。言わば森のヒグマ対森のこりすの仁義なき戦いが今始まっているのだが、闘っているのはどちらも私なのだ。

なのでこのBlogとの付き合い方を、これから少し変えると決めた。

ごく親しい信頼する方々のお声を掬い上げると「すっぱりやめろ」というお声が八割、「のんびりやんなさい」というのが二割というように認識している。

ただここでこうやって言葉を綴ることは私にとって洋平先生とのお約束であるし、年がら年中ふらふらしている母の安否確認を大事な娘がしてくれていることでもあるので、何年か前にこのBlogを始めた時のように「洋平先生とS子さんしか読んでないし」という心持ちでのゆるやかな継続をしようと今は思っている。これは「森のこりす保護活動」であり、いつまでもここにエネルギーを投入していたら書くべきものが書けないし、今のままでは私の何か(こりす的実存)が壊れる。

 

 

ちなみに七夕の昨日は表参道にいた。
数年間愛用してきたPCについて、狂信的なMac信者から「DELLなんて使ってんじゃねーよ!」と罵倒(ご指導?)され、あれよあれという間に生まれて初めてのMac Storeに立っていて、Mac Bookを手にしていた。以前のDELLは元Panasonic社員に勧められたもので、身近には元富士通社員もいたりしてずっとMacから遥か遠い場所に生きてきたのだが、まずJK剣士が信者になったことから世界が変わっちゃったし、そういえば春樹(*私は筋金入りの村上主義者だった)もずっとMac信者だったんだよな。

 


七夕だから短冊にお願い事を書いたよ、という人がいて、その人の願い事をお聞きしたらやっぱり自分以外の人のことだった。この人のことだからきっとそうだろうなと思ったけれど、やっぱりそうだったとわかった時、心の中は満天の星空になった気がした。私が書くとしたら何がいいかなあと思い、「誰しも皆良かれかし。幸いであれかし」と書きたいとふと思ったそのことが、その人のお心と触れ合った気がした。

「良かれかし」と祈るその”誰か”のなかに、あらぬ妄想を抱く人も、自分のことも含んでいたい。

 

 

№712 安全なねぐら

なんといふしづかな呼吸なのだらう 蛍の群れにおほはれる川  筒井宏之

 

 

 

 

7月6日

梅雨らしい暑苦しい日。ここ数日気温低めで、蒸し暑い米子で調えた旅支度の中身はどれもこれもノースリーブだったという悲惨なことに。「どこかに貼るカイロ売ってないのかな」と思い、人知れずワンピース等の下に(パンツのお尻の部分とかに)ペタッと張り付けておきたい気分だったが、今日はいい。ノースリーブ日和だった。しかしまあ、何か軽い上着でもちゃんと入れておきなさいよと自分を叱ってやりたい。だいたいいつも無駄なものを運んできては後から反省しているが、今回は逆だったね。

 

 

さて、三日間のうち二日を巣鴨で飲んでいた私。しかも同じお店で。
そのお店には看板猫がいるという噂で、猫トイレもちゃんとそこにあるし食べログにもその存在が記されているのに、残念ながら私はその子とリアルに遭遇したことが無かった。出張中猫に飢え、もふもふ禁断症状が出そう。今回こそは会えるといいな、会いたい、頼むからいてくれ、そしてだっこさせろ!と思っていたら、念が通じて会うことができた。


豊満なボディ。私に抱きかかえられそうになって逃げてみるのだが、豊満すぎて動きが緩慢で容易につかまえられる。「にゃーん」といいつつ身をよじるものの、飼いならされちゃったイエネコのやる気のない抵抗って感じ。日々、トカゲやヤモリを血祭りにあげている我が家のニシキマチヤマネコ・あんちゃんのパワーに比べたら80%減。しかしあんちゃんの毛量がもふもふだとしたら、この子はもっふもふで豊満度はMaxである。お名前も大山乳業白バラミルクの本家本元の生産者さんであるあの生き物に由来しており、しかも柄がそのままホルスタイン。だんだん暑苦しくなるこの季節は換毛の真っ最中で、その日着ていた黒い服に毛がいっぱいついてしまったが、そんなのぜんぜんいいもんね。いやー、可愛かったな。まただっこしたい。

 

二回の会食(反省会?勉強会?)の参加メンバーはインテグラル理論×規夫師匠でゆるーく繋がっていて、どちらも上質ですごく楽しく、同時に唸る。どの人もこの人もほんとにすごいけどみんなほんとに変わり者だ。だからこそこういう一風変わったコミュニティはすごく大事で、変わり者仲間を守りつつ優しく育んでくれる。

 

 

数日前、ひょんなことから自分という存在の泥のなかにある影が動いた。数日が経過した今ふりかえると「なんでまたそんなことに、そこまで」と情けなく、驚くが、ここが心身に巣くった情動のパワーの凄いところ、そして怖いところだろう。

耳がカッと熱くなり体のなかになにかが蠢いて、心素のなかで緩く関連づいている過去の不快な思い出が芋づる式に連想ゲームのように湧き上がり、過去そのときの身体の感覚を一緒に連れてくる。いったんは理性で収め、リフレクションジャーナルのなかで理性的に片を付けたと思ったものの、規夫師匠にそのことに関連づいた懸念事項をご相談したらまた燃えあがってしまった。

 

もういったい自分が何に対して反応したのかもわからなくなり、日々きちんと落とし込むことができなくてモヤモヤしている些細な事々が関連づいて大爆発した。そして身近な方々にすごくご迷惑をかけてしまった。

 

規夫師匠は、いつも私にとって必死に頑張ってやり続けてきたことを「もうやめろ」と言ってくれるひとである。「やめろ」と言われることは、やっていて人に褒められる類のもの。かつて毎日1時間とか座って(瞑想して)いたのにやめろと言われ、その訳もちゃんと話してくれた。頑張ってここまでにしたものをやめるのにはすごく抵抗があるし、やってきた自分に酔って頭がおかしくなっていることに気付けない。ここに冷や水を浴びせてくれるのはいつも規夫師匠である。世の中が「がんばんなさい」といって尻を叩くものを否定し、「そんな努力を続けているとかくかくしかじかでこんなふうになるぞ」という指摘が自分の心の奥底にグサッと刺さるから、「やめろ」というアドバイスを受け容れてきたし、努力を辞めることを通じて違う世界を見ることができたと思う。

 

今も、あることを「やめろ」と言われ、それは私がここまでにするのにほんとうに努力をして骨身を削ってきたものなのだった。ようやくここまでにしたのに、という想いと、ここまで頑張ってきたから起きているマイナス要件に私も実のところ薄々気付き始めており、今回動揺した一件とそのマイナス要因は奥深いところでつながっていて、私が実存的な統合(そんなことが可能だとしたら)へ至るためにどうしても受け容れなければならない気付きだった。

 

とまあこんなワケわからんことを書くと「つまらん」と叱られそうなのでここでやめておくが、要するにがんばりすぎても自分をほんとうの意味で滋養してくれる境地には至れないのだった。上昇と下降の道があるのに、片方ばかりをがんばり続けてきた。手を放して人に甘え、そのままの自分を諦めて受け容れていくことが上手にできるようになるのにいったいどんなことをしたらいいんだろう?

 

でもとにかく今回はチームメンバーのお二人にめちゃくちゃ迷惑をかけて、それでも自分はここにいていいんだと思わせてもらった。一匹狼だったものが安全なねぐらを見つけたような気持で、深く、心から深く感謝している。今回のことは、後々私にとって深い意味を持つ重要な経験になるだろう。ほんとうにありがとう。

 

 

 

№711 クロウサギin奄美

前(さき)の世に出逢ひてゐたるあかしかと思ふ なにか君が懐かし 筒井宏之

 

 

 

7月5日

おともだちが奄美大島に行くという。奄美大島と言えばアマミノクロウサギです。知ってる?と訊ねると「なんとかのシロウサギしか知らない」と仰る。


なんとかのシロウサギってうち(鳥取)のやつ。因幡の白兎。今で言うと鳥取県東部(鳥取市の方)にあたるところで起きた(らしい)大事件の主人公ですね。それはタダのウサギなので小学校でもふつうに飼われているが、わに(サメ)を騙すとはけしからん、悪がしこいやつである。しかしツメが甘い。そんなことだから、身ぐるみ(毛皮)をマジで剥がされて血まみれになってしまう。しかしお蔭で「なんとかのシロウサギ」というレベルで日本人のDNAにインプットされているのだから、身ぐるみ剝がされた甲斐があったというものだろう。詳細をお知りになりたい方は「古事記」上巻(神代)を読んでね。

 

 

そう、アマミノクロウサギ。数年前、鹿児島旅行をした際にその存在を知った。38-51㎝くらいの体長で、毛が黒く耳が短い。絶滅危惧種IB類に指定されており、世界中で奄美にしか生息していない固定種である。

 

なんだかこういういきものって心惹かれる。JK剣士はいきもの全般に対する愛が深いこともあり、ハハへのLAみやげは木彫りのキウィだったし、我が家の飼い猫ういろ(サバ柄・雑種)を褒めるときには「ニシキマチヤマネコ(うちが錦町だから)」といっている。どこだかのヤマネコのような精悍さはサッパリないのだが、最上級の愛情を示すためにそのような無理のある表現をしているんだろう。なので奄美と聞くとクロウサギが気になって仕様がない。「クロウサギグッズ買ってきてね!」とおねだりした。そんなのほんとにあるのかどうかもわからないが、期待しておこう。わくわく!

 

 

2日の午後は麹町から赤坂見附に流れタリーズコーヒーでブログを書いた。そうでもしないと夜ホテルに戻ってからでは使いものにならないのがわかっている(案の定、完全に使いものにならなかった)。赤坂見附で長女ぶーちーと待ち合わせ。健気なぶーちーは朝早くから広尾で働き、午後いっぱい赤坂見附の某マスターのアシスタントとして働くそうである。実に働きものである。毎日ふらふらしている誰かさんとは大違い。


その後、山手線の北の方の駅近く、オヤジの聖地のような居酒屋で、先日行われたイベントの厳しい反省会と、ピンチに際してみんなを救ってくれたMおさんに対する感謝の宴を開催。そのお店では「2時間縛り」を受けたが、そのあとふらふら~と徒歩0分数十秒の居酒屋での延長戦は時間無制限だった。この2次会で衝撃のミッションを与えられたが、それは明日以降に書くことにしよう。

 

ところで今晩、この2時間縛りの方のトラディショナルな居酒屋でまたマジメな勉強会があるのだが、ご参加の方はジェットヘリで来られるという。ヘリ降下時の騒音に気をつけます、とのことだったので(パイロットに重々申し付けます的な?)、同じく降下時のダウンウォッシュで周辺のオヤジをふっ飛ばさないよう要請した。よろしくどうぞ!

 

 

 

№710 熊派閥こわい

そのみずが私であるかどうかなど些細なことで、熟れてゆく桃   笹井宏之

 

 

 

 

7月3日

今朝も雨だったね。最上階の大浴場に露天風呂がついているのだが、1階のレストランのたぶん換気扇から流れ出る油脂の匂いがイヤで、朝は利用しないようにしているが雨だと断然マシである(そんな気がする)。

朝はPranayamaの時間なのでできれば清涼な外気が吸いたい。外気の方が汚いという意見もあるが、私が吸っているのは空気じゃなくてあくまでもPranaなので、澱んだ室内の空気などよりも外気の方がいい。たぶんこういったおかしなこだわりは「気がするだけ」であって、この世のどこで呼吸してもPranaは絶対者ブラフマンと共に万処に遍在しているからほんとは何の関係も無いはずである。だからこれは単に私のくだらないこだわりで、Yogaを行じることでこういうおかしなこだわりは一つひとつ無くしていかなければならない。ということでまだまだ私のYoga修行は道半ばなのであってまだまだ死ぬわけにはいかない。

 

今朝は朝9時から麹町でリアルセッション。リアルの開始時間としてはべらぼうに早いが、これが夜の予定にまでちゃんと絡まり合っているので早くてOKである。シンクロニシティが起きているのかあれやこれやが万事OKになることが多く、実におもしろい。

 

昨日は恵比寿をふらふらしすぎて足が痛くなりションボリしていたが、今朝起きると昨日より格段に楽になっている。受傷から二週間が過ぎ、途中の対応が悪かったことも乗り越えて粗雑体は回復に向かってくれているらしい。よかったよかった。はじめの1週間「やりすぎか?!」と思うくらい施術を受けておいたのがよかったのかもしれないが、常々「やりすぎもよくない」とご注意を受けていることから考えると、やりすぎて回復を遅らせちゃった可能性も無きにしも非ずである。でも治ればいいんだから結果オーライだよね。

昨日、恵比寿で菓子折をゲットするミッションがあって、ちょっと調べていたらシロクマのかき氷が出てきた。ミッションとは何の関係もないが、写真に写っているクマが滅法かわいい!ジャパニーズアイス〇花なるお店で、ジャパニーズアイスというのが要するにかき氷ってことか?

例の天文館in鹿児島のしろくま(氷白熊)よりもずっとシロクマらしく、世界最大の肉食獣らしくない愛くるしさが表現されている。クマのマズルの部分はアイスクリーム、目と鼻はレーズン、耳はミカン(かんづめ)。アイスクリーム・オン・かき氷、という冷えて冷えてたまらないくみあわせで「かわいい~!」と思いはしたが「たべたい~」とは思わなかった。


なにしろわざわざ本家本元・天文館むじゃきの真ん前まで行きながら「ひとり1しろくま(=ひとつのしろくまをグループ全員でシェアとかしたら許しませんよ)」というルールを知って躊躇し、結局あんなに「しろくましろくま」と騒いでおきながら、鹿児島滞在中一度もしろくまを食さなかったというあるまじき行為に及んだ私。かるかん(餡なし)は2回も食べて、焼酎は毎日浴びるように飲んでいたのに、たかだか冷たいスイーツを食べる勇気も出ないとはまったくもってけしからん。


でもかき氷という食べ物は、エアコンの効いていない空間で食べないとダメだと思うのである。私が愛くるしいN崎H高等学校のJKだったころ、吹奏楽部の先輩たちと通ったかき氷屋さんで食べた氷は美味しかったな。扇風機が回っているけどみんな汗だくで、食べてる端から水に戻っていく氷。ところが今のカフェのように涼しいところだと1/3にも達しない頃から体が冷えて咳が出て「もういい、あったかいものが食べたい…」と思う。そもそもアーユルヴェーダのナンチャッテ実践者としてこんな食べ物を食べてることがバレたら、バット博士に破門されてしまう。スイカですら室温に戻してから食べ、ビールもぬるくしてから飲む私にもうかき氷はムリそうである。

 

そういえば氷トラウマをひとつ思い出した。よいこのみなさんが同じ過ちを犯さないように恥を忍んで書いておこう。

まだ大阪梅田に伊勢丹が存在していた頃、その地下に赤福茶屋があった。「夏―赤福茶屋」とくればすなわち赤福氷である。何度も伊勢に遊びに行っていたハハはなんどかこれを食したことがある。餅が冷えて固くなっており、正直なところ好みではないが(むちむちしたstickyな食べ物が好きだから)、お菓子にうるさい茶人としての教養として食べておくべきものである。鳥取に越して伊勢は遠くなってしまったが、梅田にあるとなれば話は別。当時小学生の長女ぶーちーと一緒にこれを食し、お弁当とビールを買って帰りの新幹線に乗り込んだ。そう、あれは定期演奏会準備のため、伊丹のご宗家宅に合奏に伺った帰りだった。ご宗家宅での気の張る合奏を無事終えて(ご宗家は当然ながらめちゃくちゃお厳しい)、ホッとした私は調子に乗っていた。

 

冷えたビールを飲んだ途端気分が悪くなった。それから岡山に着くまでの間、真っ青な顔をして差し込む胃の痛みに耐える。痛すぎて動けない。岡山で特急に乗り換える頃にはようやく収まったが、結局赤福氷とビール一口以外なんにも口に出来なかった。翌日鍼の先生に見てもらったところ「冷えすぎて胃が痙攣」したと言われた。

他にはね(まだある)、スイカ食べすぎて胃痙攣起こしたこともあるよ。てへ!
だから皆さんも、夏の冷たい食べ物には重々ご注意ください!

 

ところで恵比寿のクマ氷の写真をJK剣士に送ったら「最近くまの割合多いな」とツッコまれた。そうやった、大阪でクマ食べたんやったな。すると「熊派閥、こわいこわい」と云う。熊派閥とはいったいなにをする集まり? 危険な香りがする。こわいこわい。

 

 

 

 

№709 果糖飲んじゃった

ひかりふビルとビルとのあはひにて虹を産まんとする雨後のみづ   筒井宏之

 

 

 

 

7月2日

昨日、成城石井でふらふらしていたらO先生から着信があった。踵のことでご心配をおかけしているので、レントゲンを撮っていないことを叱られちゃったらどうしよう、と思いながら電話に出た。が、おやさしい先生なので叱られたりはしなかった。まずは踵のことについてお尋ねがあり、そのあとお仕事の日程についてのご相談。先生はこのたびお哀しい思いをなさったとのこと。お声も鎮もっておいでのように聴こえる。お目にかかってお慰めできたらいいのに。急いでお元気におなりになることを求めたりしないけれど、時間が先生を慰めてくれますように。

 

 

今朝、預けていた荷物を長女ぶーちーが雨のなか届けてくれた。「今日の雨ヤバいから用がないなら外に出るな」というお達しであるが、残念ながら用は(多少)あるのだった。今朝は踵の調子も格段にイイ感じである。ほーらね、治ってきたじゃんと思う。


午後はその用(おつかい)のため恵比寿へ向かう。金封や薄墨の筆ペン、そして菓子折りなどを調え、立ち読みとウィンドウショッピングでいつにもましてふらふら。朝出かけるときには、買い物のあとはひとりランチをして、食後にリフレクションジャーナルをつけて本を読んで…と思っていたが、歩いているうちにだんだん(案の定)足が痛くなり、もうすべてがめんどくさくなった。すぐそこにハーブスがありパスタとケーキで私を誘うけれど、パスタはすごく美味しいものしか食べたくないし、甘いものは昨夜タイヤキ食べちゃったし、そうじゃないんだよなーと思う。


味噌。味噌が食べたい。
そしてあたたかいものが食べたい。ふだんほとんど一人で食事をしているのに今日はなぜか「客室で一人お弁当」とかはイヤな気分。なのでよろよろと移動してとある定食屋に入った。昼下がりで人も少なくなりかけていい感じである。窓際の席に陣取り、味噌味の食べ物をオーダーした。ここなら静かでいいやーと思い、食事が運ばれてくるまでにジャーナルをつけ始めたのだが… お隣にやってきたのは元気いっぱいの大学生らしい男子四人組である。

ふだんおっさんとばっかり(ごめんなさい、おじさま方)仕事してるし、私には息子といういきものを育てた経験がない。若い男子には免疫がないのである。なんつーか、もっさいし、ニキビだらけでフレッシュなことこの上ない。自分だっていつもJK剣士に「声が大きい」と叱られていることは棚に上げ、「声大きいなあ」と思って落ち着かない気分。三密回避とか云うけど隣の学生と私の間は50㎝も離れていない。これは密すぎるやろ。そしてそんなに近いからイヤでも会話が耳に入ってくる。ハンバーグがうまい、メニューの写真よりデカいんだと。

 

なんていい話なんだろうねぇ。そこで私は大学にいるぶーちーにすかさずLINEした。この定食屋の位置関係的に、ぶーちーの学校のひとたちのような気がしたからだ。するとぶーちーからは「そんなもっさい、ニキビだらけの男子が楽しくできるのがこの大学」とのお返事で、ということはそうではない生き馬の目を抜くような大学があるってことかね。そういう「東京大学あるある」を聴かせてくれる方、ぜひお声がけ下さい。「俺が若いころは」的なのでぜんぜんOKです。若い男子に免疫ないんで。

 

まあとにかく全然ゆっくりできなくて食事を終えたらそそくさと部屋に帰った。そこで昨日駅のパン屋さんで買った、瓶に”Yoga”と刻印してあるほんのちょっとで300円くらいするジュースを飲んで、美味しーいと思ったがよく見たら「ぶどう糖果糖液糖」と書いてある。もうその時のショックといったら!糖分の添加されている飲み物は飲まないことにしている私。濃縮果汁もほとんど飲まない。ちゃんとしたストレート果汁は価格が高いがしょうがない、そして昨日、価格だけでストレートジュースだと判断したが完全に間違っていた…。

 

酸化防止剤の入ったニセモノのビールを飲んじゃったときのような哀しみ。飲んじゃったもんはしょうがない。肝臓に謝罪するしかない。ショックだし、明日は早いし、もう今日は寝てしまおうかな。明日は師匠と秘密の美女に会えるので嬉しい。とっても楽しみ。

 

 

 

№708 あこがれ

3回も食事したからバレてるよ 生春巻きとわたしが好きね  佐藤真由美

 

 

 

 

7月1日
帰って?来たよ、五反田に。今回は10日ほどいます。


一部の授業が対面になって毎日のようにガッコウへ通っている長女ぶーちー。五反田に宿をとっているのはぶーちーのためなんだから、ようやくこの日がやってきてうれしいよ。ということで学校帰りにハハのところへ寄ってくれたぶーちー。「乾物欲しい、オイル欲しい、海苔食べたい」というようなSOSをいつだか発していたのに何もしないままときが過ぎていたので、先日松江のVITAから発送してもらった荷物に救援物資を入れておいた。

ミカン箱サイズで発送元はCAFFE VITA。なのにコーヒーは500gとアイスコーヒーくらいで、他はコーヒーとは関係ないものばかり。そこに切り干し大根とかひじきとか味付け海苔とか、我が家で加熱調理のときに使用するプレミアム・ココナツオイル(*精製度が高くココナツ臭がしないため和食にもOKでありながら、酸化しにくい飽和脂肪酸であるという実に優秀な油脂)などを忍ばせ、今日取りにおいでーと声をかけたら早速駆けつけてくれたのだった。ほんとうは寮に帰れば夕食もあるのだが、ハハと夕食をご相伴してくれた。そして誕生日祝いに甘いもの食べようよー、といって五反田東急スクエア二階でタイヤキを買って仲良く食べた。これからレッスンだというのにタイヤキ食べちゃったよ…

昨日は誰とご一緒に?という問いにはぼんやり返事をしておいた。母さんもいろんなところにいろんなオトモダチがいるのでうまく説明ができないこともあるのよ、ほほほ。

永遠の誕生日を祝う夜は大阪の街の某所にいた。
そして森の子りすは、なななんと!

クマを食べた。

 

クマ。熊。お召し上がりになったことおありですか?
私はあるよ!鳥取県江府町という山深いところに数年間請われてレッスンに通っていた。みなさん兼業農家さん。イノシシもシカもいる。イノシシは「じゃぶ」?とかいう味噌味の鍋仕立てにすると美味しいらしい。シカはカレーがいいらしい。そしてクマは…

「ねえねえ先生、クマ、いる?」とある日訊かれた。猟友会のなんとかさんが獲ったやつで、そのなんとかさんの捌く肉は美味しいから大丈夫だし、雪の下でしばらく寝かせておいたし、みたいなハナシだった。でもね。もらう肉がみんなブロックで、凍ってる。しかもそのブロックがデカい。ぜんぶ解凍しても絶対食べれない。凍ったままだと切れない。何とか端からそぎ落してようやく調理して食べるが、たぶん調理の仕方が甚だマズいために肉は硬くて微妙。

でもちゃんと調理されたジビエは基本的に好きなワタシ。なかでもシカは大好物。あっさりしていて美味しいよね。次はカモ。イノシシはワイルドな豚って感じでいいよね。

そして昨日はクマ。ツキノワグマだったらしい。しかもこちらはちゃんとした、という表現もご無礼なくらい素晴らしいお店なので、脂肪の多いらしいクマの肉もあっさり下処理されていて、なおかつワイルドさと力強さがビンビンに伝わってくるような感じ。あんまりすごすぎてナイショにするけど、すごい出汁のスープで煮て頂きました。実に美味しかった。「元気出ますよ」と言われたけれど、どっち方面の元気なのかはあえて問わないことにした。子りすだから。

 

しかしなんですね、森の子りすなのにクマを食すという。ツキノワグマとか食べちゃったらもう森の子りすじゃなくて、JK剣士にイジメられるように「森のシロクマ」やんか!とおもって可笑しくて、お手洗いに立ったときにひとりでえへへと笑ってしまった。忘れられない誕生日になりそう。

 

 

愛するオタクとの数か月が、正式には昨日で修了を迎えた。実際にはワケあってもうすこしやりとりを続けることにしている。昨日の夜私がクマを食べて飲んだくれている間に、愛するオタクが「この数か月、ありがとう」とメッセージをくれていたので、あともう一回セッションがあるからそこまでは終わらないよと返すと、「今月からはひとりで生きなくちゃと思ってたから」などという寂しいことを言ってくる。いろいろ環境が変わって元気になったと思ったのに、ぜんぜん自立しとらんじゃないかーい!!

まあただの冗談なのはわかっているが、なかなか可愛いやつである。そして世話がやけるなあ。彼も今は人を支える立場に立っているので、その繊細さでもって優しくあたたかく人を見まもっていくのだろうと思う。ありがたいことに数か月一緒に取り組みをさせてもらったが、最後のセッションが終わればまたお茶仲間に戻る。ずっと弟分としてなかよくして、時々カレーを一緒に食べられればいいな。

 

 

さて、長女ぶーちーが通う大学の茶道部はなんと珍しいことに表流だった。表千家の茶道人口はけっこう少ないのである。なぜかを語ると恨み節になりそうだから、今度飲んだ時にサシで語りましょう。

よちよち歩きの頃から茶室の空気を当たり前に吸ってきたぶーちーは社中期待の星で、20歳で迎えるこの春にほんとうだったらお家元の短期講習(表千家の虎の穴みたいなもの)も受講させるはずだったのに、例によって例のごとく延期になった。東京でお稽古がままならなくても、学校茶道が表流なら万事OK! いざというときのために籍をおいて、茶会などの際にはしっかりご奉仕なさいと申し付けてあったために、マジメなぶーちーは茶道部の見学に行ったそうである。

が。
ぶーちーがやってきたのはとことん真剣な稽古。家ではいつもエラそうなハハも、一歩稽古場に足を踏み入れれば彼女の同輩であるから、お辞儀もするしお礼も申し上げる。二人とも、師匠からその場に相応しい振る舞いを貫くよう躾けられた。ぶーちーの所作はハハから見ても実に美しい。点前も正確である。そんな彼女がナンチャッテな稽古で満足しはしないことは誰もみな(師匠も先輩方も)わかっている。学生さんのぬるいお稽古風景を見て、気が遠くなりそうだったらしい。

でもあえてそこを堪えて経験して欲しいと思う。そして自分がこれまでどんなにしあわせな環境にいたかしみじみ感じ、授かってきた教えをもって同年代の茶人のタマゴちゃんたちの尊敬を勝ち取って欲しい。「私もあんなお点前がしたい、あんな所作を身につけたい」という、憧れの的になってくれたら素敵だなと願っている。